鴨川ホルモー・ホルモー六景 by 万城目学

今日から映画「鴨川ホルモー」が公開されています。下記で予告編を見る限り、かなり原作に忠実な感じですね。今日は「鴨川ホルモー」にまつわる話をば。

映画「鴨川ホルモー」公式サイト
http://www.horumo.jp/index.html

3年ほど前でしょうか、ジュンク堂書店の新刊コーナーをうろうろしていた時、大量に平積みされていたある本に目が吸い寄せられました。

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表紙は京都の風景のイラスト。京都に詳しい方なら一瞬でわかる場所です。四条の南座あたりに立って東側(つまり八坂神社・祇園方面)を眺める、という風景です。そのあたりの横断歩道を学生らしき四人が、ビートルズの「アビーロード」よろしく、列をなして歩いています。でも何故か全員着流し姿。

私、母親の実家が京都であったため、幼い頃から京都には親しみがあります。大学が京都の方だったということもあり、京都は大阪に次いで縁の深い場所ということになります。しばらく京都を訪れていなかったこともあり、この表紙のイラストに強く惹きつけられました。

横に飾られたポップを見ると、評論家やら書店員の推薦の言葉がズラリ、異口同音に「面白い、面白い」と。早速手に取って、著者略歴を見ると、大学の後輩、なんと学部も一緒。こりゃ買わねば。内容も確かめずに即座に購入したのでした。

ちなみに下記Wikipedia を読むと、ロザン・宇治原史規が同級生で、1学年上には平野啓一郎(在学中に芥川賞受賞)がいた学年らしいですね。濃いなぁ。

万城目学 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%87%E5%9F%8E%E7%9B%AE%E5%AD%A6

話を戻すと、この「鴨川ホルモー」、購入したこと自体をすっかり忘れてしまい、しばらく積ん読状態になっておりました。「ホルモー六景」「鹿男あをによし」についても、上記と同じ感じで、とりあえず購入していたんですが、積ん読状態となっておりました。

そうこうしている内に「鹿男あをによし」がTVドラマ化されました(玉木宏主演)。えらい売れっ子になっているんだな、と思っていると、今回は映画化です。

「こりゃそろそろ読まないと」と思い、ある夜布団に潜り込んでから「鴨川ホルモー」を読み出しました。何ですか、これ!メチャクチャ面白いじゃないですか!もっと早く読んでおけば良かった!ほとんど漫画的なストーリーなんですが、グイグイ物語世界に引き込まれます。大学近辺の吉田神社やら、農学部グランドが舞台になっていて、シチュエーションにはまりまくりです。個人的なツボを除外して考えても、万城目学は天性のストーリーテラーだと思います。抱腹絶倒、あんまり笑い過ぎて、隣で寝ていた息子が起き出してしまい、妻に怒られました……。

あらすじはこんな感じです。

主人公安倍は2浪して京大総合人間学部に入学。さだまさしをこよなく愛しているちょっとダサい感じの男子学生。いわゆる「イカ京」です。
イカ京とは http://www.kyoto-u.com/wiki/?%A5%A4%A5%AB%B5%FE

浪人生活の鬱憤を晴らすべく、サークルの新歓コンパをハシゴしまくっている主人公安倍、下鴨神社あたりでまるでヤクザのような名前の「京大青竜会」なる意味不明なサークルから勧誘を受けます。新歓コンパに行ってみると、めちゃくちゃ美人な教育学部の新入生が来ていて、一目惚れ。京大青竜会、実は500年続く謎のサークルで……、というお話。

あんまり書くとネタバレになりますし、万城目氏の商売を邪魔してもいけませんので、ストーリーはこれぐらいにしておきますね。

それにしても、この小説、出てくるキャラクターが立っています。

まず、友達の高村。彼、経済学部の学生なんですが、帰国子弟だからか、日本文化に妙なあこがれを持っており、いきなりちょんまげ姿になって大学の授業に出ていたりします(他の事情もあるんですが)。珍しいようですが、本当にいそうな気もするキャラで、いい味を出しています。

あと、凡ちゃんがいい!眼鏡が顔の3分の1ぐらいを占有していて、髪型がボワッとしている「大木凡人」にそっくりな女の子なのです。本当に理学部にいそうで笑えます(偏見ゴメン)。もちろん本人の前では言いませんが、主人公たちは陰で彼女を「凡ちゃん」と呼んでいるわけです(眼鏡をコンタクトにして、髪型を変えると実は大変な美人。この設定が男心をくすぐるんですよね)。映画の予告編を見てもらう方が話は早いでしょう。

法学部のサークルメンバー芦屋は嫌なヤツに描かれていて、ちょっとしょんぼり。勘の良い方はお気づきかも知れませんが、登場人物のネーミングは安倍晴明・芦屋道満などの著名な陰陽師にちなんでいます。

あんまり面白かったので、次の夜「ホルモー六景」も一気に読了。こちらは前作からのスピンオフ作品です。要するに外伝的な作品ですので、先に「鴨川ホルモー」を読むことをお薦めしますが、これまた絶品。収録されている小品「もっちゃん」には泣きました。繰り返しになりますが、万城目学、本当に素晴らしいストーリーテラーです。

先程調べてみると、「鴨川ホルモー」の方は文庫本になっているようですね。表紙イラストが鴨川デルタに変わっていますが、今度はビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」風になっています。ビートルズ風味付けは万城目氏の好みなんでしょうか。

ちなみに彼の最新作「プリンセス・トヨトミ」が3月末、上梓されました。今度の舞台は大阪空堀商店街や大阪城……、って今度も私にとって庭みたいな場所が舞台になっているじゃあないですか!発売後速攻で購入してありますが、また近いうちに読みたいと思います。楽しみだぁ。

また気が向いたら、森見登美彦・平野啓一郎・織田作之助あたりについても書いてみようと思います。

鴨川ホルモー
万城目学

鴨川ホルモー (角川文庫)

ホルモー六景
万城目学

ホルモー六景 (角川文庫)