このブログで何度も書いていますが、「素直な人ほど伸びる」というのは真実です。何かを教える仕事に携わっている人と話すと、ほとんどの方が同じ認識を持っていらっしゃいます。
一方、素直でない意固地な人は、老若男女を問わず、何か新しいことを習得することが非常に難しい。教える側としても、なかなか大変な相手ということになります。
当塾の生徒さんは皆素直なので、助かっているんですが、ずいぶん前に見た素直ならざる生徒のケースを紹介しましょう。
当塾では、生徒に漢字を練習してもらった後は、原則として私たちでチェックすることにしています。なぜなら、漢字を書いた本人は「正しい漢字」と思い込んで書いているわけで、もし間違っていても、自分で気づくことはまずありえないからです。要するに、本人に丸つけを任せると、間違いを正解としてしまう。
で、こちらが漢字の間違いを指摘し、何度か書き直し練習をするよう伝えるんですが、どうしてもそれを飲んでくれない子がいるわけです。
「ここ、間違ってるね。正しい漢字はこう書くよ(実際にノートに書いて渡す)。5回書いたらまた持ってきて。」
「先生、ぼく間違ってないよ。」
「いや、間違ってるよ。ここの画とここの画が分かれているから。」
「え~、ひっついてるよ。」
「いや、ひっついてないよ。どう見ても一画じゃなくて二画になってるよ。間違いは間違いだから、頑張って直そう。」
「え~、分かれていてもいいって、学校の先生が言ってたよ。」
「それは○○君が勘違いしているか、その先生が漢字のことをよく知らないかのどっちかだな。どんなに言っても間違いを認めることはできないから、頑張って練習しよう。ハイ!書く書く!」
「え~、間違ってないのに~。ブツブツブツブツ……。」
ごねている間に書いた方がよっぽど早い(笑)。
時間がかかるのは構わないんです。が、「間違っているはずがない」「書く必要がないのになぜ書かないとならないのか」などと考えながら書いても、まず間違いなく、漢字力は身に付かないでしょう。人間、学ぼうと思って真剣にやっても、なかなか頭に残らないぐらいですから。
素直に指示を聞いてくれれば、もっと学力は上がるはず。素直に聞かせるにはどうすればいいんだろう。私たちも常々工夫をこらし、あれこれと考える部分ですが、正直な話、塾の授業だけでその点を矯正することは難しいところがあります。
もちろん、私たちとしては、折角塾に来てくれているんですから、生徒達には学力を向上させてもらいたいと何時も思っています。が、素直に話を聞いてそれを実行できるかは、その生徒の生育歴やご家庭の指導方針とも密接なつながりがあります。それ故、私たちが週に何度か見て矯正するには、あまりに強固すぎると感じる場合があるわけです。
正当な論戦(?)を挑まれるのであれば、子供だからといって馬鹿にはしません。きちんと受けて立ちます。むしろ楽しいかも。
また、私たちが間違っている場合は、素直に謝っています。
(時々あるんですよね、計算間違いをしていたりして、「センセ間違ってんで~」と指摘されることが……。もちろん、ちゃんと謝っています(苦笑)。)
しかし、ごねられて間違いを見逃すということは、決してしません。ごね得を許さないというのは当塾の一種のポリシーです。私も副代表も、「ごねても無駄、ごねるなら倍練習してもらう」という態度で生徒に臨んでいます。
そりゃ、ごねられた場合、あっさり折れた方が楽は楽なんですが、塾内にごねた者勝ちという空気がまん延しては困りますし、そもそも、その生徒のためにもなりません。世の中、ごねて通るなんてことはないわけですから。
もちろん、そこは今時の子供。怒鳴りつけてもダメです。にっこりやんわり対応します。が、譲歩はしない。そのうち、「ここでごねても無駄」ということが子供にも分かってもらえるという寸法です。
<結論>
「ごね得は許しません!ペンペン!」