昨日の新聞で知ったんですが、京都大学が全寮制大学院を新設するそうです。かなり驚きました。
文部科学省の資金支援制度である「リーディング大学院」に応募する予定、とあるんですが、これだけ大々的に報道されている以上、ある程度根回しは終わっていると考えていいんでしょう。2012年4月の開院を目指すとのこと。
かなり変わった大学院なのでポイントを箇条書きにしておきます。
- 専門性+幅広い教養を備えた人材の育成=次世代リーダーの育成を目的とする
- 全寮制である(学寮型大学院と呼ぶらしい)
- 5年一貫教育(修士課程と博士課程を分けない)
- 卒業時に博士号が授与される(何博士なんだろう?)
- 定員は1学年16~20人程度
- 場所は吉田キャンパス(京大本部近辺)
- 授業はオール英語
- 教員は京大教員&企業・官公庁から来る実務家
- 1人当たり年間約300万円の奨学金授与(貸与ではない模様)
- 1&2年目は学位論文の研究
- 3年目は「法律政治」「医薬生命」「芸術」などの「高度必修科目」で幅広い教養を身に付ける
- 4年目は海外大学や国際機関に留学する
- 5年目は官公庁や企業におけるインターンシップで実務力を高める
ポイントが多すぎて何から触れればいいのか分からないぐらいなんですが、とても興味深く魅力的な大学院です。今、私が学部生なら、結構真剣に受験を考えたかも。現在、子どももいて仕事もあるので全寮制はムリですが(笑)。
よく経済界の人達から、社に欲しい人材(要するに「幹部候補生」ということでしょう)の要件として次のような事柄が挙げられます。
コミュニケーション能力
リーダーシップ
広い教養
英語力
「高い学力」については当然なので、あまり議論されないんですが、逆に言えば、名門大学出身者が必ずしも上記のような能力を備えてはいない、ということを経済界は言いたいのだと思います。
そういう観点から、上記大学院を経済界への迎合と見る向きもあるかもしれませんが、私はそうは思いません。院卒時点で最低でも27歳にはなっているわけですから、企業が評価するかどうか現時点では分からないという気もしますし。
戦前の旧制高校の教育システムを高く評価している私としては、そこに見られた「教養主義」の現代的な復活だと考えたいですね。全寮制であること、3年目のカリキュラムがそれを物語っているんじゃないでしょうか。現代風に履修時期が学部卒業後になっていますけれど。
1学年16~20人といこうことで、完全な少人数制教育ですし、一年間に300万円が貸与ではなく授与されますから(これは極めて重要なポイント)、心置きなく勉強に専念できます。ここで勉強できる人が羨ましいですね。
この京大全寮制大学院から有為の人材が出てくることを期待したいと思います。