小学生用教科書の大増量

完全少人数制宮田塾の方は、来年3月から新年度の授業が始まりますが、指導要領の変更や教科書の変化に対応して、来期の授業内容を練っているところです。授業時間割は決定いたしましたので、ご興味のある方はお電話にてお問い合わせいただければ幸いです。

さて、来年度の教科書大増量の話は、もう皆様もご存知かもしれません。かなり内容が増え高度化しております。

今までの教科書は、パンフレットのような薄いものでしたが、やや歯ごたえのあるものになってきたと言えましょう。もちろん、中学入試に対応できるレベルになっているわけではありませんけれど。

これまでは、教科書の記載内容すべてを教え込むというのが建前だったんですが、今後は、教える内容の取捨選択が、ある程度学校の教師に認められるということになります。

それゆえ、教師の力量によって授業内容がかなり異なってくると問題視する向きもあるようですが、そんなことは以前から(というか大昔から)の話であります。学校の授業というのは当たり外れがあるものだと考えておくのが大人というものです。クラスに集まる生徒の能力も大きく授業内容を左右しますしね。

来年の算数の教科書に掲載される問題で、次のようなものがあります。小学6年生の算数です。

「ある仕事をするのに一郎さんは15日かかります。二郎さんは10日かかります。一郎さんと二郎さんが同じ仕事を同時にすると、仕事を終えるのに何日かかりますか。」

一郎は二郎をあてにしてサボるとか、二郎は一郎と仲が悪くて同時に作業すると著しく能率が落ちるとか、そんな事情は考えなくて構いません(笑)。純粋に算数の問題として考えて下さい。
(レベルとしては、入試問題の基礎の基礎の基礎ぐらいの問題。このレベルの問題を出題してくる中学はあまりないと思います。)

ちょっと気の利いた人なら、「6日」と即座に暗算で答が出せる問題ですが、小学生に教えるのはなかなか難しいところです。単純に足し算して、「25日」という答を出す6年生も結構いるんじゃないかと予想します。こういう答を平気で出せる生徒は、数的感覚というより、読解力・思考力の面を鍛えるべきでしょう。「一人で仕事をするより二人でやったほうが早く終わるはず」という常識を考える必要があります。

解き方は一つではありませんが、考えの一例。

仕事の量を1とする
   ↓
一郎の一日の仕事量は1/15(15分の1)、二郎の一日の仕事量は1/10(10分の1)である
   ↓
二人合わせた一日の仕事量は1/15+1/10=2/30+3/30=5/30=1/6
   ↓
一日に1/6終えられるのだから、全部の仕事は6日で終わる

もちろん、塾の授業では図示してちゃんとやる予定ですが、私が公立小学校の教師なら多分この問題はオミットするだろうと思います。集団の2割ぐらいしか理解できない問題に力をかけるよりも、分数の計算など必ず習得すべき問題に力を入れる方が合理的でしょう。

初等公教育は、「最大多数の最大幸福」(ベンサム)を考えるべきものだと思うんですよね。実際もおおむねそのように運営されています。そして、それは悪いことではありません。

それゆえにこそ、塾は存在するのだと考えております。