常用漢字が29年ぶりに増えることになりました。現行の常用漢字から5文字削除、196文字追加ということで、総計2136字になります。
漢字については書きたいことが山ほどあるんですが、これはいずれシリーズ化して書く予定なので、今日は思うところを少しだけ。
漢字を読むことと書くことは表裏一体ではあるんですが、どんな人でも、読める漢字の数の方が、書ける漢字の数より多いはず。そこを素直に認めて、常用漢字を読みバージョンと書きバージョンにわけてもよいのではないか。
一説によると、ものを書くことを生業としている学者や作家のレベル(いわゆるインテリ層)で、3000の漢字を書ける程度らしい。そこから考えれば、一般社会人の書ける漢字は1500字程度でよいのではないか。逆に、読める漢字は一般社会人としても倍の3000字程度は必要なのではないか。
文章を書く際には、ある程度の時間がかけられるはずですし、辞書を調べる余裕もあるはずです。最悪、別の表現に切り替えることも出来れば、ひらがな・カタカナで書くこともできます。一方、文章を読む際には、スピードが必要なことが多いはず。入学試験の文章に読めない漢字があるからと言って、辞書を繰るわけにはゆかない。
そういうことも考え合わせれば、やはり「読み」「書き」で常用漢字のレベルを変えた方がよいような気がします。2000字程度では、(一般的な人を対象にした場合)「帯に短し襷に長し」に見えて仕方がありません。
文化審議会も言っているようですが、パソコンや携帯電話の普及が漢字環境(ひいては言語環境)に影響を及ぼさないはずがないわけで、この「読み」「書き」の差はますます開いてゆくだろうと思います。
今回の常用漢字増補、塾の方では全くと言っていいほど混乱はないと思いますが、学校の教科書や漢字検定(準2級と2級は常用漢字を範囲としています)といった部分では、やや混乱が生じるかもしれません。入試はどうでしょうかね、あまり混乱はないと思いたいところです。
個人的には、常用漢字なんかにとらわれず、ガンガン語彙や漢字を増やしていくべきだと思いますが、受験生にとっては、面倒が増えたように見えるかもしれないですね。