どれぐらい本質的な部分に遡って教えるべきか

子ども達を教えていて思うんですが、どれぐらい本質的な部分に遡って教えるかというのは、なかなかさじ加減の難しいところです。

もちろん、根本的な理解をしてもらうことが一番大切ですから、本質的な部分にまで遡った説明をするのが原則です。しかし、必ずしも「本質的な部分=簡単」ということにはなりません。むしろ「本質的な部分=難解」ということが多い。

大人の理解力であれば、本質にまで遡って理解した方が、はるかに効率は良いんですが、子どもの場合は生活経験や勉強経験がまだまだ乏しいですから、抽象的な本質部分よりも具体的な表層部分を覚えさせた方がうまくゆくことがままあります。

卑近な例で言えば、円の面積の公式

小学校の教科書には、微分積分の基礎的な考え方で(もちろん微分積分なんて言葉は書いていませんが)、求積する方法が書かれています。

詳しく説明する時間がないので、興味のある方は下記のリンク先をどうぞ。最初の方で小学生向きの説明をして下さっています。

円と球の求積(直感的方法)

こうした小学校の教科書の記述、確かに本質的な部分にまで遡っていて素晴らしいとは思うんですが、小学生の一般的な理解力や集中力を考えたとき、本当にここまで説明すべきなのか、やや疑問に感じるところがあります。

とりあえず、半径×半径×円周率(3.14) という公式を覚えてもらい、あとはどんどん問題演習をしてもらうという方法、言い換えれば、あえて具体的な表層部分にとどめて指導することもときには必要なんじゃないか。高校数学のレベルに進んだときに、本質に遡って理解できるならば理解すればよい。そしてその時に、小学生の頃から培った公式運用能力は決して無駄にはならない。そう思うんですが、いかがでしょうか。

当塾では、本質に遡った方がよい場合は(そういうことも多々あります)、もちろん本質的な部分から説明しますが、そうでない場合は表層的な部分の説明に止めるようにしています。結局はそちらの方が学力が伸びますから。

まぁ、理解段階に応じて、指導内容やその深さを変える、という当たり前の話ではあります。