当塾の読解力・国語力に関する指導について(特に小学1〜4年生の場合)

忙しい日々が続いておりまして、全然ブログを更新しておりませんでした。すみません。至って元気に仕事をいたしておりますが、いかんせん時間がありません。気がつけば前回更新時から、1ヶ月以上が経過していました。

中学入試間近とあってその準備に追われているのはもちろん、来年度のご見学においで下さる方々の対応にも追われておりまして、今日はそのあたりの話を。

当塾の受験国語部(小学5年生・6年生を対象としています)では、基礎的な国語力を身に付けたあと、実戦的な得点力を身に付けてもらうように、実際の入試問題を徹底的に掘り下げ、教材を作成し指導致しております。おいでになる生徒さん・保護者様は「入試合格」という明確な目的をお持ちですし、当方としても、目標を定めて授業を行いやすいということになります(もちろん楽ではないですが)。

一方、読解力・国語力を向上させようとする小学1年生から小学4年生は、一般部(完全少人数制宮田塾)の方をご利用頂いておりますが、こちらはご希望に応じて算数・理科・社会・英語も指導するとあって、やや運営の趣旨をご理解いただくのが難しくなっているような気もします。

特に読解力・国語力の向上を目指して、国語の指導だけを受けさせたいとお考えの保護者様向けに、ここで当塾の指導の狙い・趣旨をご説明しておこうかと存じます。完全少人数制宮田塾での指導を念頭において読んでいただければ幸いです。


まず、当塾では、「自分の力」でしっかり文章を読んでもらうことを基本としています。自分で勉強してこられた方にはよくご理解頂けると思うんですが、これは読解のスタートでありゴールでもあります。自力で文章をしっかり読めて理解できるならば、どんな国語の問題も恐るるには足りません。言うまでもなく、この力は入試で役立つだけではなく、将来の勉強・仕事にずっと役立つ根本的な力。学力の根本をなすこの力を、小さい間にしっかり身につけて貰いたいというのが当塾の願いです。

ただ、言うは易く行うは難し。私も子どもを育ててきたのでよく分かりますが、親が子どもにこの力を授けるのは至難の業なんですよね……。

いわゆる知的職業とされるお仕事に従事されている方が、当塾にお子さんをお預け下さることがままあります。そうした方々からすれば、子どもの国語の勉強指導なんてお茶の子さいさいのようにも思えますが、現実はなかなか。親子という関係だからこそ、甘えや怒りの感情が渦巻き逆巻き燃え上がり(って大げさですが)、冷静に教え教わるという関係を築きにくいんですよね。

「自分の力」でしっかり文章を読むというのは、とりわけ冷静に地道に行わねばならない作業であって、感情的になってしまえばまともな勉強が出来ないのは自明の理です。

と言って、小さな子どもが自分一人で文章の野山を切り開き、自らの力で読解力を築いてゆくということもまた至難の業。やはりほとんどの場合は大人の手を借りる必要があるだろうと思います。


そうしたことを考えて、当塾としては次のようなことを重視して指導しています。私も副代表も大学生時代から小・中・高校生を教えておりまして、35年以上の経験があります。その経験は伊達ではないはず(と信じたい)。

まず、自分でしっかりと文章に向かい合う機会を設ける。意外にこれが出来ていないことが多いんですよね。大手塾さんに通っていても、さーっと流し読みしているだけで「読んだ」気になっているだけなんていうケースをどれだけ見たか分かりません。

次に、細切れの時間ではなく、できるだけ1時間程度集中してもらえる場を作る。これは生徒さんの集中力次第というところもありますが、やはり一定時間以上、文章に集中して取り組まないと「読める」ようにはなりません。

そして、現時点での学力から考えて、今取り組むべき適切な文章・教材を選ぶ。幸い、今は色々な教材が用意されていますので、私どもの方で適宜それを選択しています。基本的には塾専用の教材を使っておりますが、それぞれの教材にはそれぞれの特色があります。また生徒さんの学力・性質も様々で、学年相当より少し易しめのものに取り組んだ方が伸びやすい生徒さんもいれば、かなり難しめのものに取り組んだ方がいい生徒さんもいます。

正直に言えば、教材を一種類にしてしまった方が指導も楽なんですが、そこは手を抜かずにやっております。

あとは、適切・的確な問題も大切ですね。できるだけ「記述問題」「文章を書かせる問題」をさせる方がいいと考えています。記号選択問題だけでは「しっかり正しい文章を書く」という力が身に付きません。

大手塾さんの模試問題(特に4年生ぐらいまでの問題)は、採点の便宜を考えて、ほとんどが記号選択問題や1から2文字を抜き出すだけの問題が多く、あまり力のつく問題にはなっていません。熱心な保護者様ほど模試の問題を重視されることが多いんですが、それよりももっと良質な問題があります。

ここで良質な問題というのは、国語力の育成に役立って、入試の合格に繋がるという意味です。いわゆる難関中学で出題される、登場人物の心情の推移を150文字程度で説明する問題や、本文全体を見渡して筆者の主張を100文字程度でまとめる問題は、イージーな記号選択問題の延長上にはありません。やっぱり面倒でも書く癖を付けないと。

私達は全生徒の記述問題の間違いの横に、模範解答を書いた上で指導しておりまして、かなり時間がかかるんですが、そこはゆるがせに出来ないところ。よく腱鞘炎になるんですけどね(笑)。

あとは、プロの目からちゃんと生徒さんの様子をチェックすることも意識しています。どれぐらいのスピードで読んでいるかな、集中力を失っていないかな、ここで休憩を取らせた方が効果が上がるかな、もう少し負荷をかけても大丈夫そうだな、まだこの問題には歯が立っていないかな、などなど気を遣いながら観察しております。

もちろん、まじまじと見られると生徒さんもやりにくいですから、さりげなく、もしくは、見ていない振りをしながらなんですけどね(笑)。特に難渋している場合は、チェックすべき段落を指摘しに行ったり、教材に解答の骨組みを書き込んだりして、その生徒さんに応じたヒントを提示しております。

そして、その日か次の日には私と副代表でミーティングというか意見の交換。といっても、夫婦なのでご飯を食べながらとかなんですけども。○○君はまだ漢字が危ういから漢字指導に力点を置いた方がいいだろう、○○さんは大分読解力が高まってきたから、今の教材はスピードを上げて次のレベルに早めに進んでもらおう、なんてことを話しながら共有致しております。


上記のような取り組みに応えてくれる生徒さんも、当塾の場合、比較的多いのではないかと思います。大手塾模試で国語は大抵3桁ぐらいの順位だったのが、全教室合わせても1桁順位が取れるようになったりだとか、偏差値がいつも60台後半に乗るようになったりだとかいうのは、割によく見るケースです。

以前灘中に合格した生徒さんがまだ低学年だった頃、保護者様が、こんなに基本的な問題をしていて大丈夫ですかとおっしゃったことがあったんですが(クレームじゃありません、素朴な疑問としてです)、難関を目指されるのであればあるほど、基本を重視した方がよい旨をお伝えした覚えがあります。テクニックなんてほとんど意味はない。

実際、基本的=簡単ではないんです。基本って奥が深いですよ。基本がしっかり出来ているからこそ応用に繋がるわけですし、そもそもいい中学入試の問題は、妙にテクニカルなことを要求するものではありません。基本的なことを聞いてきます。先述した、「登場人物の心情の推移を150文字程度で説明する問題や、本文全体を見渡して筆者の主張を100文字程度でまとめる問題」なんて、本当に「基本的」です。

小説を読んで登場人物の心情を考えるのは基本的なことですし、筆者の主張を考えながら論説文を読むことも極めて基本的な事柄ですからね。なのに、入試の場になると得点に大きな差が開く。

とまあ、久しぶりにブログを書く時間が取れた嬉しさでダラダラと書いてしまいましたが、ある程度当塾の考えをご理解いただければ幸いです。

せっかく体験授業においでくださっても、「自分の力」でしっかり文章を読んでもらうことをベースに置いているせいか、私どもが「何もしていない」ように見える方もいらっしゃるかもしれません。

以前、体験においでになった方から「これだったら自宅でできると思います」と言われたことが……orz(久々に使ったよ)。もちろん、ご自宅で同様のことが出来るとすれば素晴らしい環境だと思いますので問題無いんですが、そうでないならば、当塾がお力になれるかと存じます。

また来年もいい生徒さん達と出会うことを楽しみに致しております。