昨日、嬉しいお報せをいただきました。
6年前、中学受験対策のために当塾に来ていた生徒さん・保護者様からのお報せです。見事、東大に現役合格されたとの由。おめでとうございます!
プライバシーに関わることですので、あえて進学された中学名は伏せますが、相性の良い学校との出会いが、彼(ここでは仮にA君とさせてもらいます)にとって、とても大きな意味を持っていたとのお話でした。もちろん、A君が中学進学後も謙虚に真面目に勉強に取り組んでいたことが一番の勝因だと思いますが、その努力を実らせる土壌である学校やご家庭も小さな要因ではなかったのでしょう。
A君が小学6年生だった頃のことをよく覚えています。かなり夜遅く、本人から電話が掛かってきました。曰く、私が宿題として出した入試過去問がどうしても思うように解けない。電話口の向こうで、彼は泣いていたのではなかったかと思います。
私が出題したのは、彼の第1志望としている中学校より少し下のランクの併願校の入試過去問だったはず。私の目からすると、その学校は例年、偏差値に比してかなり難しく癖のある国語の問題を出題します(個人的には良い問題だと思うけれど)。
普通の子なら「あまり出来ないけどまあいいか」と流すところだと思うんですよね。もちろん、それはそれで全然構いません。次回の授業で、持ってきてもらった答案を見て、私の方で点が取れるように指導・修正していくわけですから。
ただ、A君は子どもながらにそれを潔しとはしなかったんだろうと思います。電話口の向こうから伝わってくる真剣さに、私の方も居住まいを正さざるを得なかったことを覚えています。私が与えたアドバイスは概要こんなものだったかと思います。
「あのな、A君、この中学の国語問題は、みんな手こずるねん。そやから、あんまり気にしたらあかんよ。ちゃんと勉強したら、絶対に合格点は取れるから。」
「模試の問題と大きく違うのは、傍線部の近くだけにとらわれてはいけないこと。まだ入試まで時間はあるから、文章を大きく掴むように気を付けて何度か読んでみたらええよ。筆者は結局何を言いたいんやろって考えながら、文章の骨組みを掴むこと。それが一番大事やで。そしたら細かいところも自然に見えてくるから。」
「この学校の抜き出し問題の答えは、傍線部から遠いところにあることが多いねんけど、出題される先生方の狙いは、文章の骨組みをしっかり捕まえてもらう、というところにあると思うよ。だからメチャクチャに探そうとせず、大枠を捕まえてみたらええよ。」
「また次の授業でいっしょに見ていくから、間違ってもかまわへんよ。できるとこまででええから気軽にやってみて。」
次回の授業に持ってきてくれた答案は、アドバイスをきちんと押さえたものでした。素直な子だな、こういう子は絶対に伸びるんだよなと思った次第。今回の東大合格もその延長線上にあるのでしょう。
ぶれることなく真面目に努力を重ねる。成功はその先にしかありません。曲がりなりにも人に教える仕事をしていると、そのことが痛感されます。いや、本当に。
ともあれ、東大でもしっかりと勉強されて、有為の人材として社会に羽ばたかれることを期待しています。頑張って下さいね!