「文章に書かれていないことは解答にしない」
「あなたの考えは聞かれていない」
当たり前のことですが、「文章読解」問題においては「文章を読み解く」ことが求められています。言い換えれば、文章に示されている筆者の考え・主張を読み取る、ということです。
特に評論文や説明文などでは、文章を文面通りに素直に受け取ることが大切です。例外的に、ある程度、文章から推論をすすめるべき問題もありますが、その推論の幅は極めて狭いものです(特に中学入試)。
簡単に言えば「書いてある通りの選択肢を選ぶ」「書いてある通りに記述する」というのが鉄則です。
これをお読みの方は「そりゃそうだろう」とお思いかもしれません。しかし、実際の答案を見てみると、結構な割合で「自分の考え」が混入してしまっているものです。難関大学を受験するような生徒ですらそういうことがあるぐらいです。いわんや中学受験生においてをや。
例えばこんな感じです。
「現在の地球環境が説明されている文章」を考えてみてください。筆者が客観的に地球環境の現状をレポート・説明しているだけの文章です。こうした文章の要約を選択させると「地球環境を保護すべきだ」式の文章にアッサリひっかかる生徒が出てきます。
考えてみてください。文章に示されているのは「地球環境の現状」です。「地球環境をこうすべきだ」という話題には触れられていません。筆者は地球環境の現状を見て「環境保護に努めるべきだ」と思っているのかもしれませんし、「もう手遅れだから行き着くところまで行き着くしかない」と諦めているのかもしれません。
もちろん、道徳的には「環境保護に努めるべき」なんでしょうが、そう文中に示されていなければ、そう読み取ってはいけません。筆者が「環境保護に努めるべき」と考えているかどうかは「分からない」ということになります。したがって、選択肢もそれに応じたものを選ぶ必要があります。
「環境を保護すべき」「自然を大切にすべき」といった内容はよく聞かれる主張ですし、反対すべき主張でもないでしょう。しかし「書いていない」主張を答えにしてはいけません。
選択問題を例に出しましたが、記述問題も同じで、勝手な考えを混入させないことが大切です。「筆者の考えを80字程度で書きなさい」という問題なのに、自分の考えを20字程度入れてしまったりすると、大幅な減点を食らいます。(本文から離れて見た)解答の文章自体はおかしくないので、解答者自身もなんとなくできた気になってしまうのが恐ろしいところです。
そんなわけで、国語で得点を取れる解答というのは、得てしてそつのない(ある意味没個性な)ものになります。それで十分なのです。目も覚めるような美文だとか、画期的な意見などは求められていません。(そもそも、限られた試験時間の中で小学生にそんなものを求めてもムダです。)
あくまでも出題者は「あなたはこの文章を『読み解けますか』」と聞いているのであり、「あなたはこの文章を『どう思いますか』」と尋ねているのでは決してない。そのことを胸に刻み込んで欲しいと思います。