政治に左右されない学力

当塾のある大阪では、最近、市長選挙・府知事選挙が行われ、新市長・新知事が選出されました。皆さんもよくご存知の通りだと思います。このブログ、政治的な話は原則としてタブーにしていますので、「教育」に関する話として、少し思うことを書いてみたいと思います。


「政治」は「教育」に深く関わるべきではないというのが、私の考えです。「教育」は「政治」の持つ党派性には馴染みませんし、そもそも「教育」が長年にわたる取り組みである以上、選挙毎にその行方が変わるという不安定性を持つ「政治」に左右されることは非常に危ないわけです。とても単純明快な理由。

では、そういう考えの有権者や候補者が多いかというと、そんなことはなさそうです。選挙の度に、どの候補者も「教育問題を解決する!」「教育を変える!」と妙に教育問題に力を入れているポーズを取ります。

「私は政治家ですから、教育のことは教育の専門家に任せたいと思います。ただ、専門家が暴走するようなら歯止めはかけたいと思います。」

こういう主張をしてくれる候補者がいれば嬉しいんですが、残念ながら見たことがありません。どうも頼りなさそうに見えるんですかね(笑)。学校の先生が、青筋を立てながら政治運動で走り回るのがおかしいのと同様、政治家が教育問題を左右しようとするのも、やはり不自然な話に思えてなりません。(完全にではないけれど)「教育」が「政治」に従属しないような法的制度が採用されていることは、故無きことではありません。


選挙の際のアピールはパフォーマンスだとして、実務的に「政治」と「教育」の線引きが上手く出来ているならば、何の問題もないんですが、最近はそうも言えないことが多くなってきています。

詳しい話は下記の記事に任せますが、定員総数が進学予定者数を2000~3000下回るというのは、ほぼ全員が進学を選択する高校入試の段階について言えば、かなりの異常事態でしょう。

大阪府内で、来春の高校入試に向けて、公立、私立の各高校の募集定員が決まらない異常事態が起きている。定員割れを避けたい両者が低めの定員を見積もった結果、定員の総数が進学予定者数を大きく下回り、急きょ再調整が必要になった。
asahi.com(朝日新聞社):高校入試、決まらぬ定員 募集総数、進学者数下回る – 関西住まいニュース より引用

もちろん、塾としては、「高い学力があればこういう事態とは無縁でいられるから、勉強に励んでおけばよい」ということになるんですが(実際こういうレベルの生徒は当塾にはいない)、学力底辺層の中学3年生&そのご家庭には気の重い話だと思います。


だいたい、職員の待遇を下げておいて、その職務の質についてはさらなる向上を命じると言うこと自体、実現の可能性においてかなり難しいところがあります。

「来月からあなたたちの給料はドンドン減らします。その代わり仕事は倍こなしてください。」

私なら嫌です(笑)。というか、普通の人なら誰だって嫌だと思います。しかし、不思議なことに、こと公務員や教員については、こういう議論に賛同してしまう人が多い(もちろん不当な優遇・高給を支持しているわけではありませんよ、念のため)。

やっぱり、待遇の悪いところに優秀な人材は集まりにくいわけで、長期的に見たとき、大阪の公教育界はかなりマズいことになるであろうというのが私の予想です。あまり大きな声では言えませんが、既に大阪府の公教育界から人材の流出が始まっていることは、確かな筋から聞き及んでいます。

時々の政治に左右されないような学力を身に付けておく。仮に教育システムが変動しても平気でいられるような学力を身に付けておく。

当塾としてはそうしたスタンスをお薦めしたいと思います。