塾講師による生徒刺殺事件に関する訴訟

2005年、京都府宇治市の学習塾で、塾講師が生徒を刺殺するという信じられない事件が起こったことは、皆さんもご存知かもしれません。

事件当日、ニュース速報を聞いた小学校の生徒たちも、「訳分からん!」「何で先生が生徒を殺すんやろなぁ?」と口々に言っていたことを覚えています。

大教大附属池田小の事件もそうですが、子供を預ける場が凶行の場になるというのは、子を持つ立場からすると、本当に身の毛がよだつ思いがします。

さて、上記事件に関する刑事訴訟の方は、懲役15年ということで刑が確定しているようなんですが、本日(2010.03.31)、京都地裁で民事訴訟(使用者たる塾に対する損害賠償請求)の判決が下されました。

紗也乃さんの両親が、塾を運営する京進(京都市下京区)に計約1億3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、京都地裁であった。松本清隆裁判長は京進の使用者責任を認め、同社に対し計約9893万円を支払うよう命じた。
asahi.com(朝日新聞社):塾講師が小6刺殺 塾側の責任認め9893万円賠償命令 より引用

どう考えても、塾側が使用者責任を免れ得ない事案ですから(実際、請求額に近い支払いが命じられている)、第一審判決を得るまでにこれだけ時間がかかるのは、塾側にも大きな問題があるのではないかと考えます。この塾、事件後も堂々と広告・宣伝を行い、営業もしているわけですから、犠牲者の保護者さんは、本当にやりきれない思いなのではないかと想像します。

<追記>
夜になってリンク先の記事を見てみると、少し内容が変わっていました。塾側の主張も掲載されています。

京進側は法的責任があることは認めていたが、「事前に萩野受刑者の殺害計画に気付くのは困難で、事件を阻止できなかった責任は重いとは言えない」などと訴えていた。
asahi.com(朝日新聞社):塾講師が小6刺殺 塾側の責任認め9893万円賠償命令 より引用

このあたりの主張を塾関係・法律関係以外の人々がどう捉えるかが問題ですね。なお、塾側は控訴しない方針だということです。