「勉強の仕方が分からない」#1

ここ数日間、目が回るほどの忙しさだったんですが、ちょっと一段落しました。最近ふと思い出したことを記事にしておきます。

時々、本当に時々なんですが、「勉強の仕方が分からない」という漠然とした言葉を聞くことがあります。生徒本人からではなく保護者様を介して聞くことが多い言葉です。つまり、保護者様から、「うちの子ったら『勉強の仕方自体が分からない』って言うんです。」と相談されるパターンが多い。

結論から先に申し上げますが、お子さんがこうした事を言うのは、極めて危険な兆候だと思います。私たちは、子供が勉強の世界から逃げていく(そしてたいていは二度と戻ってこない)兆候だと捉えています。もう子供には勉強する気力が残っていない可能性が高い。

具体的な質問なら全然構わないんです。具体的な質問とは、例えば、「指示語問題の解き方が分からない」とか、「一次関数のグラフの読み取り方が分からない」とか、「○○模試第○回の理科第○問の解き方を教えて欲しい」というような質問です。こうした質問が出るのは、むしろ勉強に意欲的な証拠。どしどし持ってきてもらいたいと思っています。

問題視しているのは、内実を伴っていない、本当に漠然とした「勉強の仕方が分からない」という言葉です。


実際にあったケースをご紹介してみたいと思います。もうずいぶん前の話なので、ご紹介しても差し支えないでしょう。

A君は成績が特に芳しいわけではない中学生。我々指導する立場としては、進学校合格は到底無理だが、頑張ってそれなりの高校に入ることを目標にしてもらいたいと考えていた生徒さんです。

面談の際、保護者様がおっしゃいます。「うちの子『勉強の仕方自体が分からない』って言うんです。どうすればいいでしょうか?」

少し話はそれますが、当塾の場合、開塾の時から「うちの塾で分からなかったら、もうどこで教わっても絶対に分からないはずだ」ぐらいの気持ちで授業をやっています。ちょっと自信過剰だと思われそうですが、学校とは違って塾ですからね。塾は勉強・学力向上に特化した場所ですから、ある意味、当然の気概だと考えています。

そういう気持ちで塾を運営している以上、先の保護者様のお言葉は大いに気になります。保護者様に、必ず対処する旨をお約束して、副代表と対応策をあれこれと話し込んだ覚えがあります。


私の場合、この宮田塾を開く前に教えていたのは、難関と呼ばれる国立大学や医学部を目指すような高校生ばかりでした。彼らを教える際に要求されるのは、一にも二にも、教える側の深い学力や分析力と、それを伝える技術。

彼らの持ってくる質問は極めて具体的かつ鋭いので、それに答えるのは確かに大変なところもあります。国語であれ、英語であれ、大学入試の問題集に載っている「正答」が納得できない生徒には、新たに一から解答を組み上げたり、より根本的な説明を加えたりするわけです。

しかし、逆に言えば、その質問を真正面から捉えればよく、妙な解釈を加える必要は全くないわけです。直球勝負。

私は、そうした生徒に慣れていたこともあり、初めて聞いた「勉強の仕方が分からない」という漠然とした事態に、少々戸惑いました。勉強の具体的な仕方は、学校でも聞き、当塾に来る前の学習塾でもさんざん教わってきたはず。私たちの塾でも何ヶ月も教えていますし、できる限り具体的に教えてきたはず。

不審に思いながらも、勉強である以上、対処方法は大きく変わるまい、今まで以上に具体的かつ丁寧に勉強方法を教えてゆけばよかろう、意欲的な高校生と大きくは変わるまい。当時の私はそう思いました。

しかし、今振り返ってみると、本当に未熟な考えだったと思います。長くなりそうなので、続きは下記記事にて。

「勉強の仕方が分からない」#2