一人旅 奥の細道 #1

連休中、ちょっと一人旅に出かけてきました。移動手段はもちろんバイク。どんな乗り物よりもバイクが好きなのです。

バイクで旅をすると「自分の力でたどり着いた感」がこの上なく強いんですよね。ま、エンジンの力で移動しているので、正確には「自力」とは言えないんですが、電車や飛行機のように他力本願な乗り物は私の性に合いません。自動車も悪くありませんが、目的地に着いたときの達成感が乏しすぎます。ただの移動としか感じられない。感動がない。

弾丸ツーリスト体質なので、一日1000kmの移動も平気です。むしろそれぐらいの移動距離の方が楽しいぐらいです。観光?何それ?美味しい食事?何それ?朝から晩までひたすら走り続ける旅。

何が楽しいのかと妻や母からは呆れられるんですが、息子だけは理解できるようで、そこはやはり男だなと。「とにかく遠くまで行こうぜ!」「移動すること自体が楽しみだぜ!」なんて考えは、おバカな男にしか分からないのかも。実際、最近の息子との「男旅」は、自動車で遠方に出かけることが多くなってきています。


さてさて、今回出かけたのは山形県の寒河江(さがえ)。別に何か目的があってという訳ではありません。

GW直前に、妻と息子が泊まりがけで実家に帰る日程が決まったんですが(おっと、不仲なわけではありませんよ。義父や義母も息子と会うのを楽しみにしてくれているので、時々妻の実家に帰ってもらっているのです)、その日は天候も良さそう、仕事も休み。こんな日は値千金、一人旅に出るに如くは無し。

ネットで検索すると、安いホテルはどこも空室がありません。GW直前になって、安い部屋を探そうなんて馬鹿な奴は私だけなんでしょう。数時間寝るだけの場所だし高級な宿はいらないんだよな〜、そもそもそんな所は身分不相応なんだよな〜と思いながら、めげずに宮城県や岩手県の宿を探したんですが、空室ゼロ。

で、山形県を検索してみると、ありました!安い宿が1室だけ!所在地の寒河江がどんな所なのかも全然知らないままに、あわててネット予約。電話にてバイクで伺うという旨をお伝えすると、担当女性が「そいじゃあ、スペースを用意しときますねぇ」と、優しい感じの山形イントネーションで答えてくれたのでした。いいねいいね!

GoogleMapを利用して、自宅から寒河江までの道のりを調べてみると約770km(北陸自動車道利用)。う〜ん、ちょっと物足りない。時間もあることだし、どうせなら片道1000kmぐらいのタフな旅行にしたいんだけどな、ということで、200km程度の回り道をあれこれ考えること、2日間(笑)。

結局、名神高速→新名神高速→伊勢湾岸自動車道→新東名高速→首都高速→常磐自動車道→北関東自動車道→東北自動車道→山形自動車道という、冗長なルートを考え、あえてそのルートで行くことにしました。このルートだと、自宅→寒河江で約980km。千葉県・茨城県という、未だバイクでは足を踏み入れたことのない県を踏破できるというのもこのルートを選んだ理由。われながらしょーもない理由ですが……。

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出発前日は夜まで仕事があったので、午前0時頃に寝床に。朝4時に起床。こういう時には極めて勤勉です(笑)。それから顔を洗って、荷物をパッキング。旅に荷物をたくさん持って行くのは大嫌いなので、最小限の荷のみ。タイヤの空気圧をチェックして、4時30分に出発です。

阪神高速はもったいないので、新御堂筋を利用して吹田インターチェンジに向かいます。休日早朝なんかだと、ほとんど到着時間は変わりません。吹田ICから名神高速を北上し、草津ジャンクションで新名神高速に。

今のところ新名神高速は滋賀県草津から三重県亀山までしか開通していませんが、早く延伸工事が終わって中国自動車道と繋がってほしいものです。そうすれば中国自動車道宝塚トンネルの慢性的渋滞が一気に解決するはずなんですよね。新名神建設を促進すべく、官僚はあえて慢性的渋滞を放置しているんだろうと思っていますが、新名神を通るたび、建設を邪魔立てした政治家や、建設に再度GOサインを出した某国土交通大臣(高校の先輩)の顔を思い出します。そんなことはどうでもいいか(笑)。

亀山ジャンクションで新名神から東名阪自動車道へ。四日市ジャンクションまでは一本道ですが、四日市からどのルートをたどるかは走りながら決める事にしていました。伊勢湾岸自動車道を通るべきか、名古屋の都市高速を通るべきか。

というのも、以前、伊勢湾岸自動車道の名古屋港橋梁部分(いわゆる名港トリトン)で怖い目に遭って以来、ちょっとそこを走るのがトラウマになっていたんです。

2年ぐらい前でしょうか、かなり強い風の日に名港トリトンの上を走ったことがありました。自動車しか乗らない人には分かりにくいところですが、バイクは風に極めて弱い乗り物でして、風が強いと左右に思い切り振られます。0.5車線分ぐらい、意志に反して風に振られてしまうことも。転倒する可能性も極めて高くなります。

対処法は、シフトダウンしてエンジンの回転数を上げ、一定以上のスピードを出す、ということになるんですが(コマを回すのと同じ原理)、以前通った際は、ほぼ法定速度で走る大型トラックに、前も後ろも横もピタッと塞がれる形で名港トリトンに突入してしまったのでした(完全に自分の判断ミスです)。強風の吹きすさぶ背の高い橋梁部分では、ちょっとしたミスが命取り。

風に振られてトラックに巻き込まれぬよう、そして転倒せぬよう細心の注意を払いつつ無事通過しましたが、精神的にヘトヘトになったのでした。別日、自動車でも風の強い日に通ったことがありますが、窓を全開にしてみても余裕のよっちゃん。強風の日ばかりは、自動車に大きなアドバンテージがあることを認めざるをえません。

で、この日は、時々現れる吹き流しを横目でチェックしながら走行。慣れてくると、吹き流しの吹かれ具合で風速が読めるようになります。この日はどうやら風速1〜2メートル/秒、よし、これなら名港トリトンにリベンジだ、ということで、進路を伊勢湾岸自動車道に。

この日の名港トリトンは、早朝だったこともあり、拍子抜けするほどイージーモード。「何これ、めっちゃ楽勝やん!景色もいいし、最高に楽しい道路やん!」と上機嫌で中京工業地帯の枢要部を駆け抜けたのでした。

この後で起こる大変な事態も知らずに……(笑)。

長くなってきたので、次回に続きます。

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