先程ニュースを読んでいると、また八百長相撲の話が出ています。なんでも、力士の携帯電話から、八百長や金銭授受をうかがわせるメールが見つかったとのこと。
八百長自体には全然驚かないんですが、それが今更大きく取り上げられるところに、少し驚きを感じます。
以前、ある方の次のような話を聞いたことがあります。
祖父が政界の有力者で、家に出入りする人が多かった。真っ当な人もいれば、かなりややこしい人もいる。幼い孫という立場で、色々な人を見てきたが、ある日、ややこしい筋の人が、彼を手招いて曰く、「坊ちゃん、今日の相撲の取り組みの勝ち負けを全部予言してあげましょう。」と一枚の紙をくれる。当日夕方からの取り組みを見ていると、勝ち負けはその紙に記されていた通りだったので、子供心に驚嘆した、という話です。
もちろん、予言ではないですよね。大人の世界です(笑)。
別に相撲をけなそうという気持ちはありません。ただ、「相撲」というものの立ち位置が不明確であるのが問題だと思うのです。言い換えれば、相撲が「スポーツ競技」なのか「伝統芸能」なのか判然としないところに原因がある。
個人的意見だとお断りした上で書きますが、私は、「相撲」を歌舞伎や文楽などと同じ「伝統芸能」だと捉えているので、八百長を別に問題視はしていません。筋書き通りに歌舞伎や文楽が演じられ語られたからといって、誰も怒りはしないのと同じです(むしろ筋書きと違うことをすると観客の怒り・失笑を買う)。力士の身体の動きの美しさや、神への奉納という相撲の本質を見せてくれるなら、勝敗なんてどうでもいいんじゃないか。
もちろん、金銭授受や、反社会的勢力への資金の流れなんかは排除すべきだと思いますが、「八百長=悪」という考えも、やや短絡的にすぎるんじゃないかと感じます。
日本相撲協会は財団法人。その寄附行為(誤解を招きやすい言葉ですが、財団法人のルールというような意味です)には、次のような条項があります。
第 3 条 この法人は、わが国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨し、その指導普及を図るとともに、これに必要な施設を経営し、もって相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与することを目的とする。
この目的からすると、「相撲=伝統芸能」と考えることは十分合理的だと思います。協会も、「相撲はスポーツではありません」と断言した方が楽になるんじゃないでしょうか……。