前回の続きです。
つい最近購入した、塾関連の面白い本をご紹介しましょう。
ジュンク堂で平積みになっていたこの本。当塾の場合、「小さな国語塾&総合学習塾」なので、何となく気になります。手にとってページをめくってみると、冒頭に「稲荷塾」なる塾が紹介されています。
教える科目は数学のみ、教室も一つ、講師も一人だけ。難関合格率の高い、量より質の塾である、との由。
これ、「数学」を「国語」に読み替えたら、ウチ(宮田国語塾)のことじゃないですか。読み進めていくと、自宅と教室が同じ建物になっている模様。しかも、出身大学も同じ、育児にも力を入れておられる。どこまで似てるねん(笑)。とりあえず購入して読んでみることにしました。
いや~、面白い。あんまり面白いので、その日の内に読了してしまったんですが、本当に良書だと思います。
もちろん、細かい部分では考え方も違います。対象とする生徒さんの学年や層も違います。しかし、根本的なところは当塾の考えとかなり近いものがあります。(勝手に)親近感を覚えます。
具体的に見ていきましょう。
まず、本書の対象として、受験現場にいる中高生、および、小中高校生を子供に持つ保護者をお考えなんですが、より正確には、「一般的な」中高生およびその保護者ではなく、「トップレベルの大学を真剣に目指そうとする」中高生およびその保護者向きの本だという気がします。
稲荷先生の提唱されるスタイルを私なりに要約すると、次のようになります。
中学数学3年分はそれほど難しいものではなく、大学受験を念頭に置いたとき、あくまでも高校数学の準備段階と位置づけられる。
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難関大学(ここでは東大・京大・国公立大医学部を想定)に合格するには、それ以外の国立大学に必要な学力に加えて、あと1年の演習量が必要である(東大理IIIや京大医学部についてはあと2年の演習量)。
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一般的な進度に合わせて数学を勉強すると、高3終了時にようやく演習に入ることになってしまうことが多く、現役合格できない。
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とすれば、中学1年生終了時までに、中学数学3年分を終了させておき、中学2年生で高校1年生の数学、中学3年生で高校2年生の数学、高校1年生で高校3年生の数学を履修すればよい。残りの高2・高3の時期をまるまる演習にあてられるため、どのような大学・学部でも射程範囲内に入る。
もちろん、上記の勉強方法を採用できる生徒は限られていると思います。本書にも示されていますが、東大・京大・国公立大医学部レベルは上位0.7パーセント程度の学力が必要だというデータがあるわけですから。
灘中学などでは、上記のように、中学2年生から高校数学に入るというスタイルが取られていますが、やはりそれは母集団のレベルが一般とは違うからできる事ですし。
しかし、稲葉先生は上位10パーセントの小学生なら上記スタイルが可能だとおっしゃいます。10パーセントは、0.7パーセントの14倍!これは大変な指導力がないと言えないことです。並大抵ではない研究や研鑽を積んで来られたのであろうと想像します。(プリントをさせてマルを付けるだけといった指導方法で先取りをしても、ほとんど意味がないことも付言しておきましょう。)
実際、私も高3の頃は、数学ばっかり勉強していた覚えがあるんですよね。英語・国語・地理・日本史・生物はどうとでもなると思っていたんですが、公立高校の悲しさ、数学の演習が足り苦しい。受験勉強の65-70%程度は数学をやっていました。まぁ、私の受験の話はまたいつか。
長くなったので次回に続きます。