体験授業でどこまで伝えるべきなのか

宮田国語塾の体験授業の話なんですが。

当塾では体験授業の際も、実際の入試問題を解いてもらい、体験に来てくれた生徒さんの答案をベースに授業を行っています。わざわざ当塾の門を叩いてくださった訳ですから、私としては、少しでも成績を上げてもらいたいと願っていますし、実際、体験授業ではあれ、何がしかの知恵を身につけて帰ってもらうようにしているつもりです。

当塾の場合、原則として成績でお断りするということはしませんので、結果として様々なレベルの答案を見ることになるんですが、その評価をどう伝えるのかについては、未だに少し迷っているところがあります。

まず、よくできた答案の場合。この場合ほとんど問題はありません。良くできている点を褒めた上で、当該問題だけにではなく、より一般的な場面で役立つ解法を指導させてもらうことが多いですね。

次に、あまり出来が芳しくない答案の場合。こちらにはちょっと問題が……。

例えば記述問題があったとします。記述問題には普通「書かねばならないポイント」がいくつかありまして、それを全て外したりするとアウトなわけです。そうした「ポイント」をことごとく外してしまった答案を書くお子さんも珍しくはありません。

もちろん、最初はそれでも全然構わないんです。取れない得点を取れるようにするのが当塾の任務ですから。ただ、客観的には、その問題・答案についての現時点での評価は、「0点」「全く評価できない」というのが正しいということになります。

ただ、「評価ゼロ」ということを、初対面の生徒さん、しかもまだ小学生の生徒さんに伝えるのが正しいのかどうか……。恥ずかしながら、未だにそこに迷いがあります。

だって、わざわざ遠いところからやってきて、一生懸命に答案を書いたのに、(一応は)プロに「こんなの零点です」って評価されたら嫌な気持ちになる、というより、国語が大嫌いになると思うんですよね。少なくとも私ならなります。何やねん、このおっさん!ムカツクわ〜(笑)。

かと言って、「これで合格間違いなし!」なんておべんちゃらを言うのも、またおかしな話です。授業は生徒さんの機嫌を取るために行っているわけではありませんから。

そんなこんなで、あまり出来が芳しくない答案については、「『問題文』はよく読めているよ」という評を伝えることが多かったんですよね。少なくとも嘘はついていませんし、もし入塾してくださったなら、そこから当塾の方で記述力をドンドン鍛えてゆけばいいわけですから。

問題は、ご入塾に至らなかった場合です(たまにあります)。「『問題文』はよく読めている」という評を「答案もよく書けている、入試合格の実力あり」という風に誤解されたのではないかということが、とても気になってしまいます。正直に言えば、このままの実力だとほぼ確実に不合格になるのがわかっているので、ミスリーディングなことを言ってしまったのではないかと危惧するわけです。

当塾でなくとも構わないので、何か指導機関なり添削なりを利用して、是非記述力をブラッシュアップしてもらいたいと思うんですが、入塾をご希望にならなかった方に、わざわざそんな連絡をするのも「押し売り」をしているように思われそうで、躊躇してしまいます。セールスの押しが強い品位に欠ける塾だと思われるのは、やはり嫌ですし。

本人ではなく保護者様に、なんとか言外の意図を汲み取ってもらいたいというのは、ちょっと贅沢な願いでしょうか……。