刑事は形事じゃありません

もう7月も下旬なのに降ったり止んだりの日が続きます。いったい何時になったら梅雨明けなんでしょうか。

昨日見たニュース。ろくでもない奴等がお年寄りを騙そうとしたという、よくある話です。容疑者は警察官を装って高齢男性宅を訪れ、キャッシュカードを騙し取ったらしいんですが、その後すぐに被害男性から通報されています。

その理由は下記のごとし。

警視庁によりますと、坪井容疑者は「刑事課の特殊詐欺防犯係」と名乗っていましたが、男性が連絡先を紙に書いてほしいと伝えると、「刑事課」の「刑」の漢字を「形」と間違え、「詐欺」の「詐」の字はごんべんしか書けず、男性が不審に思い通報したということです。

2020.07.23 付TBS NEWS より引用
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4035736.html

そんなんだから犯罪の一つもできないんだよと、妻と大笑い。いや、犯罪を奨めているわけではありませんよ。でも、最低限の常識や知識がないと低級な犯罪遂行すらままならないことは事実でしょう。

自分の役職名(?)を書けないなんて、社会人落第にもほどがありますが、詐欺の「詐」という文字が書けないことは百歩譲ってよしとしましょう。義務教育で習う漢字じゃないですしね。

ちなみに「詐」の訓読みはご存知でしょうか。そう、「いつわる」ですね。

「いつわる」という訓読みをする漢字は結構あります。「詭」「偽」「譎」「佯」などなど。それぞれ意味が微妙に違いますが、ご興味をお持ちの方は漢和辞典をあたって下さい(手抜きゴメン)。

ちょっと脱線しました。問題は「刑事」の「刑」です。この字を「形」と書くのは、根本的に漢字力が欠如しているせいでしょう。「形事」って、猛烈に違和感を覚える熟語(?)ですよね。当塾の小学生の生徒に漢字を教わって欲しい(笑)。

「刑」の字も知らない犯罪者が、「刑事」事件手続に乗せられるわけですが、これ、土佐日記を思い出させます。

「一文字をだにしらぬものしが、あしは十文字にふみてぞあそぶ」

「一という文字をさえ知らない人が、(酔って)足では十という文字を書くように千鳥足で遊んでいる。」といった意味なんですが、まさにそれ。

今回なら、さしずめ、「刑文字をだにしらぬものしが、刑法にかかりてぞ罪せらるる」というところでしょうか(笑)。まあ、刑務所でしっかり勉強して下さい。