国語力を順調に伸ばす人の共通点
今まで色々な生徒さんを見てきましたが、国語力を順調に伸ばす生徒さんにはある共通点があります。どんな点だと思われますか?
それは、当方の指示に従って(反応して)出題文章にラインを引くのがとても速いという点です。そういう生徒さんは、最初は国語の成績が芳しくなくとも、徐々に読解力や得点力が高まり、最終的にはかなりの好成績を収めていることが多いと言えます。
もちろん、何事にも例外はありますから、絶対とまでは申しません。ただ、ライン引き指示への反応の速さは、難関校に合格したり、成績を大幅に伸ばしたりするための「必要条件」であるということは言えるように思います。
上記の反応速度は、結局のところ、「授業(私の話)をどれだけ集中してい聞いてくれているか」によって決まります。言い換えれば、線引き指示への反応速度は「授業に対する集中力」を表しているわけです。
とすれば、傍線引き指示への反応が速い人が学力を向上させていくのは、当然といえば当然の話です。集中して授業を聞いてくれさえすれば、個人差はあれ必ず学力は伸びるはず。
今までのケースを思い出すに、飛躍的に成績を伸ばした生徒さんは、皆こちらの指示に対する反応速度が非常に速いんです。例えばこんな感じ。
「この出題のヒントになるところに波線を引くよ。第3段落の6行目、『太郎は次郎の顔を真っ直ぐに見ることができなかった』というところだよ。」
私が上記のような話をし始めると同時に、該当部分に目を落とす。即座にラインを引き始める。私が言い終えた頃には、もうラインを引き終わっている。
自動車やバイクの運転で例えれば、路上の障害物の存在をかなり遠くから認識していて、安全確保のために即座にアクセルを緩めたり、ブレーキング動作に入ったり、走行ラインを変え始めたりする感じです。高い集中力で、状況に応じて必要とされる動作を的確に繰り返すことが出来る。こうした運転手の事故率が、注意力散漫なドライバー・ライダーより低くなるのは道理ですよね。
ライン引き・傍線引きが遅い人の問題点
逆に、ライン引き指示を何度も繰り返す必要のある生徒さんもいます。
「この出題のヒントになるところに波線を引くよ。第3段落の6行目。……いいかな、早くテキストを見よう。第3段落の6行目。……はい、赤ペンを早く用意しよう。第3段落の6行目ね。……いや、そこは第6段落だよ。はい、第3段落の6行目を見よう。」そんなやり取りの後で、ようやくライン引きに取り掛かってくれる感じです。
こんな風に、出題文章やそれに関する解説に対する追従速度が遅い場合、どうしても授業の冗長性は高くなってしまいます。強引に解説のスピードを上げたところで、受講者には何も伝わらない授業になってしまうからです。結果として、授業の進度が遅くなる。
ただ、授業進度が遅くなること自体はそれほど大きな問題ではありません(限度がありますが)。読解力を高めるには、出題文章を深く理解することが必要かつもっとも重要なのであって、読む文章の量を増やすことは二義的なことだからです。
文章や解説に対する追従速度の遅さが問題になるのは、次に示すように、もっと本質的な部分です。
出題文筆者の言わんとすることや、当方の解説を理解しようとする姿勢に乏しい
↓
文章理解があやふやになる
↓
あやふやな文章理解に基づき問題を解いてしまう
↓
誤答orあいまいな解答ができあがる
↓
国語って難しいなあ・やりにくいなあという感覚に陥る
↓
最初に戻る・以下ループ
これはちょっと困った悪循環です。
こうした生徒さん、根本的にどん臭いというわけではありません。能力に問題があるわけでもない。どちらかというと、文章に関する興味が乏しかったり、勉強スタイルが我流であったりするだけなんですよね。
とすれば、上記のような部分を修正して文章への追従速度を高めてゆけば、国語力・解答力は伸びてゆくはず。教える側からすると、ライン引き指示への反応の速さが、そのバロメーターであるわけです。
ただ、「言うは易く行うは難し」です。文章に興味を持ってもらったり、偏った勉強スタイルを変えていったりするのは、なかなかの難事業。教える側だけではなく、教わる側にも努力の必要なところですから。
国語の成績が伸び悩んでいる人へのアドバイス – 全速力!
おっと、長くなってしまいました。国語の成績が伸び悩んでいる人へのアドバイスで終わっておきましょう。
国語力を上げるには、文章や筆者の主張に興味を持つことが最も望ましい。ただ、これは個人個人の好みもあるので、なかなか難しいところもある。
そこで、こういう心構えを持ってみる。
文章に興味が持てなくとも、講師の出す具体的な指示(◯◯ページの◯行目に線を引けといった指示)に「全速力」で反応しようとする。参考書や問題集で自習している場合は、解説に示されている出題文該当部分に「全速力」で反応してラインを引く。
「全速力」というところがポイント。「えーっとえーっと……」ではなく、「ズバッ!バシッ!」という感じが努力目標です。そういう姿勢でいれば、おのずと講師の解説・問題集の解説に集中できるはず。
レーサーのように時速350kmで走行する集中力を発揮しろとは申しません。ただ、法定速度最上限、時速100kmで走行するぐらいの集中力は常時出してほしいところです。そうすれば、嫌でも国語力は上がってくるはず。なかなか大変ですけどね。
ライン引き・傍線引きに関しては、スピード違反大歓迎、アクセル全開大歓迎です!
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