珍答紹介

ひさびさに授業中に出会った珍答をご紹介しましょう。もちろん、生徒を馬鹿にして笑っているわけではありません。発展途上なんですから、間違ってもらって大いに結構。語彙力アップのお役に立てば。

問題 : ( )を吹いて疵を求める

誤答:血

確かに疵(きず)ですから、なんとなく血が吹き出しそうな気はしますけどね。いや、こんなイメージなのかな。「先生!急患です!交通事故に遭われた方です!」「ひどい状態だ!今すぐ血液を拭いて創傷部分の特定をせねば!」それだったら、血を「拭いて」疵を求める、ですけどね(笑)。

正解は「毛を吹いて疵を求める」。犬や猫の擦り傷なんてよっぽど注意深く観察しないと見つからないですよね。ふぅ〜ふぅ〜と獣の毛を吹いて些細なキズを見つけようとするところから、「他人の欠点を無理に探そうとする」という意味で使われます。

問題 : ( )を矯めて牛を殺す

誤答 : 唾(つば)

これ、実はウチの息子の誤答。

「今、友達と口の中につばを溜めてだれが一番たくさん溜められるかを決める遊びが流行ってるねん。途中で笑わされてビヤーッって出したら負けやねん。」

「気持ち悪い遊びすんなよ!(笑)」

そもそも唾液ぐらいで牛は死にません。ウシはすごい消化管を持ってるんだぞ、胃も4つあるし、反芻もするし、って思わず関係ない話に飛んで、ことわざの話を忘れてしまいました。

正解は「角(つの)を矯(た)めて牛を殺す」。「矯める」というのは「ゆがんでいるものを曲げて直す」という意味。角の少しの歪みを気にして無理矢理に矯正したところ、立派な牛が死んでしまった、というところから、「些細な欠点を直そうとして、かえって全体をダメにしてしまう」という意味で使われる表現です。

問題 : ( )舌に尽くしがたい

誤答 : 毒

有吉弘行の毒舌をもってすら、表現し尽くせないほどのろくでも無い人間を意味する……わけがありません。正解は「筆舌に尽くしがたい」。文章や言葉では表しきれない様子を言います。beyond description ってやつですね。

次は漢字の読み。

問題 :「同時」

誤答 : おなじ

まぁ、理解できなくはない(笑)。正解は「どうじ」。

問題 : 武士に「二言」はない

誤答1 : じごん

誤答2 : ふたご

確かに双子の武士って、あまりイメージが湧きません。長い歴史の中には、きっといたはずなんですが。時代的な背景から「同時出生ではない兄弟」として扱われたり、養子に出されたりしていたんだろうかなどと想像が広がります。正解は「にごん」。

次は意味を書かせる問題。

問題 :「すぐれる」の意味を書きなさい。

誤答 : すぐにこわれる

国際連合を国連と呼ぶが如しですね……って、そんな略語はありません!正解は「他のものより上である」。

歴史の問題。

問題 : 日本の中世に発達した芸能で、舞踊と劇の要素を含んだものは何ですか。

誤答 : 熊

いや、れんが(れっか)は要りませんから。クマーーーー(笑)。正解は「能」。そうそう、熊という漢字になぜ「れんが(れっか)=火を表す部首」が付いているかご存知でしょうか?ご興味のある方はこちらの記事をどうぞ。

理科の問題。

問題 : カエルは幼生時と成体時では呼吸の方式が変わります。それぞれの呼吸方式を書きなさい。

誤答 : 幼生時→スースー呼吸する 成体時→ハァハァ呼吸する

そんなこと聞いてねぇ!なんとなくムードは伝わってくるけどさ(笑)。正解は「幼生時→エラ呼吸 成体時→肺呼吸」です。


生徒の間違いではありませんが、中学入試模試(国語)で見つけた奇妙な選択肢もご紹介しましょう。

某模試で「○○におもねうとする気持ち」という表現があったんですが、これはいただけません。「おもねる」は「人に気に入られようとする、へつらう」の意で、ラ行五段動詞ですから、「○○におもねうとする気持ち」とせねばなりません。この問題の作成者はヤ行五段動詞だと考えていらっしゃるのかもしれませんが……。

ちなみに「おもねる」の漢字表記は「阿る」。「阿諛追従(あゆついしょう)=相手の気にいるようなことを言ったりしたりすること」という四字熟語と合わせて知っておくと良いと思います。

今後も珍答を収集していきたいと思います、ハイ。