「カラスの早起き、スズメの寝坊」#1

中学入試国語の問題を指導していると、興味深い文章に出会うことがあります。中学入試の問題ですから、レベルとしては、中学生~高校生向きに書かれた文章からの出題が多いわけですが(小学生向きの文章から出題する学校はほとんどありません)、中学校によってはかなり大人向きの文章を読ませるところもあります。

関東の難関校などは、大人向けの小説を読ませることが多く、感情の読み取りなども、「大人の発想」を要求してきます。正直、大学受験生でも下位層なら合格点を取るのは難しいのではないかと思えるレベルです。

関西ですと、例えば灘中学などは、ガッチリと論理の通った理系的文章を好む傾向があります。それでいて、四角四面な文章ではなく、取り上げる題材のおもしろさも相まって、洒脱な感じの文章とでも言いましょうか。このあたり、灘中学の求める生徒像が垣間見えて興味深いところですね。

先日、同中学の過去問を指導していて、興味深いと思った本があります。

カラスの早起き、スズメの寝坊 文化鳥類学のおもしろさ
柴田敏隆

カラスの早起き、スズメの寝坊―文化鳥類学のおもしろさ (新潮選書)
少し興味を持ったので、取り寄せて読んでみました。
恥ずかしながら、鳥には何の興味もなかったのですが、読んでみると「鳥の世界」の面白いこと!

灘中学が出題している部分は、すっきり論理が通った分かりやすい部分なんですが(さすがの選択眼ですね)、今回は別の部分を引用してみましょう。

(動物行動学による研究が進んできたことを受けて(ブログ作成者注))
「俄雨があがって、再び陽光が射しはじめたたときに、ここかしこで小鳥たちの合唱が湧き起こるのは、採餌やなわばり確保のような「個人的必要」によるものでなく、まさに太陽の再来を迎えるよろこびを謳歌し、そこの森や林や草原に棲む鳥たちの社会的なまとまりを示す、社会的な歓喜の歌と考えてよい情緒的な現象である、と鳥の専門家達も言っているのである。」
<同書「コジュケイの夫唱婦随」より引用>

つまり、雨上がりに小鳥たちがチュンチュンさえずっているのは、
「うわ~晴れてきたね!チュン!」
「だね~気持ちいいね!チュン!」
「楽しいね~!チュン!」
「ね~ね~あっちに遊びに行かない?チュン!」
「いいよ!行こう!チュチュン!」
「わ~い!チュチュン!」

といった感じ(?)で喜んでいる訳なんですね。科学的発想より、子供っぽい想像の方が正解に近いとは。なんだか笑えます。

続きます。