素人の見たアンドレアス・グルスキー展 in 大阪 国立国際美術館

アンドレアス・グルスキーの写真展に行ってきました。

ANDREAS GURSKY | アンドレアス・グルスキー展 | 東京展 : 2013.07.03-09.16 / 国立新美術館 | 大阪展 : 2014.02.01-05.11 / 国立国際美術館

写真には疎いので、つい最近までグルスキーの名を知らなかったんですが、アート指向の高い塾生さんからその名前を聞いて、少し興味を持ち始めたのが先月の話。ですから、以下の文章は、にわかファンですらない、ド素人の戯れ言と思って読んで下さい。


アンドレアス・グルスキーという名前を教えてもらい、すぐにネットで調べてみたんですが、どうやらドイツの著名な写真家らしい。で、写真作品をあれこれと画像検索で見てみると、どこかで見たことがあるようなものが。

分かりました。「RehinⅡ」というライン川を撮った作品が、史上最高額(4億3千万円)で落札されたというニュースをどこかで見たのでした。あまり興味も無いので、「写真に数億円って、よく分からない世界だな」と思って忘れていました。

しかし今、意識して、Macのモニタ上で作品群を見てみると、なんとなく惹かれるものを感じます。すべての作品にというわけではないけれど、何かひっかかるものがある。

よく調べてみると、まさに今、大阪で展覧会が開かれているではないですか!これは見に行かねばということで、先の休日、中之島の国立国際美術館に出かけました。折しもその日はグルスキー展の最終日。ギリギリセーフ。

素人から見たグルスキーの写真の特徴は、とにかく大きい、デカイということです。初期の作品なのでしょうか、小さな写真も展示されていましたが、あまり魅力を感じませんでした。

そして、作品の大きさと矛盾するようですが、細部まで猛烈に「描き込まれている」点も特徴的なのではないかと思います。写真を「描き込む」というのは変な表現であるような気もしますが、グルスキーは写真に編集を加えて作品化しているそうなので、そう言ってもよいかと。

写真って、原理上、どこかには焦点が合っている代わりに、それ以外の部分には焦点が合っていない絵になるのが普通だと思うんですが、彼の作品の場合、隅から隅までピントがキリキリと合っている感じがするんですよね。

しかも被写体の多くは、人間活動の結果生まれた、整然たる人工物。極めて規則正しく並べられた工作物は、どこか見る者を強迫観念に駆りたてるような質量感と細密性を持っています。

これって、苦手な人はかなり苦手な表現なんじゃないかと思います。万人に受ける作品だとは思えない。日曜日ということもあって、展覧会は盛況だったんですが、最高落札額などのセンセーショナルな話題だけで見に来た人も多いんじゃないかとチラリと思ったり。ま、私もド素人なので同じ穴の狢ですが(笑)。

ただ、圧倒的な質量感と細密性、そして人工的な規則性は、私の個人的嗜好にピタッとはまります。私、自分自身は自由気ままで縛られずにいたいと常に願っているんですが、その反面、自分の周囲は規律正しくクリアであって欲しいとも願っています。ただのワガママですけど(笑)。

そうした者からすると、完全な規則性をもって整列する大量の商品や、整然とした文字の並びは、とても美しいものに見えます。それらを被写体にして、どこまでもクリアかつ人為的にピントを合わせ、大規模に仕上げた作品が、私にとって不快なものであるはずがありません。

私が特に気に入ったのは次の作品。ネット上を探して拝借した画像なので少し問題があるかもしれませんが、とりあえず。

2014051701.jpg 2014051702.jpg 2014051703.jpg

「99セント」の前で、どのお菓子が美味しそうか、どう並べたらより良いかを、息子と議論することしばし(笑)。そうそう、日本の実験施設「カミオカンデ」を被写体にした作品も印象的でした。


作品を見終わって思い出したのは、「システィーナ礼拝堂」の内部に描かれた絵です。ミケランジェロ等によって描かれたこの絵も、どこまでも細密で目まいがしそうな程。ご興味のある方は、下記リンクからヴァーチャルツアーを体験してみて下さい。時間を忘れて見回ってしまうこと必至です(ヴァチカンの公式サイト、音が出ますので注意)。

Sistine Chapel