日本の一般的なマスコミは、スポーツとしての二輪レースにとても冷淡なんですが、世界的には(とくに欧州)、MotoGPは二輪界における最高峰のレースとして絶大な人気を誇っています。
世界最高峰のマシン、世界最高峰のライダー、世界最高峰のサーキット。各メーカーが最先端のマシンを惜しげも無く投入し、天才的なライダー達が命を賭けてしのぎを削る世界。最高時速は350km超。2013年ですと、世界を巡業する形で18レースが行われ、総合ポイント最高の者がチャンピオンを獲得します。
このMotoGPに参加できる者は、世界中から選ばれた、たった20名程度の男達。レース界のエリート中のエリートです。私のような二輪好きからすると、オリンピック選手、サッカーの各国代表選手、そんなのとは比べものにならない権威を感じます。文字通り「命がけ」ですしね(実際、2011年にはシモンチェリ選手が、2010年には富沢祥也選手(Moto2クラス)がレース中のアクシデントで死亡しています)。
興味のある方は、下記のドキュメンタリー映画予告編がお薦め。ナレーターはユアン・マクレガー。生前のシモンチェリ選手(ビールの話をしている選手です)も富沢祥也選手も見えます。
映画『FASTEST』予告編
さて、2013年度のMotoGP。役者が揃いに揃っていて、開幕前からとても楽しみにしていました。レプソル・ホンダはK.C.ストーナーが引退して不在なのが寂しいですが、ダニ・ペドロサがいつも上位に顔を出し優勝を窺っています。超新星のマルク・マルケスもレースを引っかき回しています。特にマルケスがいいんですよね。可愛いカッコ良いので女性ファンも多いと思うんですが、アグレッシブな姿勢に惹かれる男性ファンも多数いるんじゃないでしょうか。昨年はMoto2クラスでも暴れまくっていましたが、2013年に入ってクラスアップ、弱冠20歳にしてMotoGP第2戦で優勝。31年ぶりに最年少優勝記録を更新しました。紛う方なきニューヒーローです。
前年度チャンピオンのホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)は下馬評通りの強さですし、カル・クラッチロー(ヤマハ)も調子が上がっています。ヤマハと言えば個人的にはベン・スピースも応援しているんですが、うむむ、どうも最近調子が良くなさそう。ニッキー・ヘイデンも好きな選手ですが、ドゥカティのマシンがやっぱりダメなのかな……。
さて、一番気になるのは何と言っても、我らがヴァレンティーノ・ロッシ。不世出の天才レーサーの名をほしいままにしてきた彼も、ここ数年は優勝から遠ざかっていました。
彼の場合、収入も凄いですし(数年前のデータでは世界の全アスリート中4〜5位ぐらい、年収数十億円)、天才としか呼びようのない見事なまでの戦績を残してきています。が、この厳しい世界、永遠のチャンピオンでいることは不可能です。年齢?熱意?何が原因なのかは、素人の私にはよく分かりませんが、直近2年間のドゥカティ所属時代は、表彰台にすら上がれないレースが続いていました。
しかし、このロッシのスター性・カリスマ性は、誰にも代わりが出来ないもの。この人のとにかく華やかなイメージは、千両役者のものです。
もじゃもじゃの天然パーマにピアス、かわいカッコイイ猿顔(ファンの人ゴメン)、サーキットでは長い手足でマシンを操り、鬼気迫るライディングを見せるんですが、普段は気の良いイタリアンな兄ちゃん。本当に天性のスターで、私もファンです。
今年は確執があったと伝えられるヤマハに復帰。やっぱりこの人にはヤマハ・ブルーが似合います。年齢的にも引退の時期は近づいているんでしょうが、だからこそ最高の環境で良いレースを見せてもらいたい、そう多くのファンが開幕時から思っていたはず。
Valentino Rossi gets reacquainted with his Yamaha – YouTube
2013年シーズンは初戦からなかなか好調でしたが、とうとう先週土曜、第4戦アッセンにて久々の、本当に久々の優勝。YouTubeで見たんですが、ファンの盛り上がり方たるや、凄いものがありました。ヴァレ!ヴァレ!ヴァレ!大連呼です。マルケスをパスするシーンはロッシの真骨頂、思わずモニタの前で「うおぉ!」と叫んでしまいました(笑)。やっぱりこの人は本当に華があります。
残り11戦でどれだけロッシが勝ち星を挙げられるかは分かりませんが、是非是非彼の優勝シーンを何度も見たいものです。
MotoGP Rewind: Assen 2013
動画内で紹介されていますが、ホルヘ・ロレンソ(99番)、レース予選走行中に鎖骨を折っています。にもかかわらず、翌日のレースに出場し、5位を獲得。気絶してもおかしくないような痛みがあるはずで、ゴール後、感極まるロレンソに私も胸が熱くなりました。