人間、幼い頃は色々な可能性を秘めていますから、子供にあれこれチャレンジさせてやるのは悪いことではありません。しかし、誰でもある程度の年月を生きてみると、自分に向いていない事柄がハッキリと分かってきます。
私の場合、全く不向きだと自覚しているのは「ダンス」です。
ダンスにも色々な種類がありますが、芸術性の高い舞踊のようなレベルの話をしているのではありません。学校でやらされるような、ごくごく普通の踊りの話です。
学校でやらされるようなダンスというのは、音楽やリズムに合わせ、あらかじめ決まった順序に従って身体を動かす行為、と言っていいと思うんですが、どうもこれが難しい。
記憶力にはそれなりに自信があるんですが(トランプの「神経衰弱」で負けたことはほとんどありません)、一定の順序で身体を動かすということになると何故かなかなか覚えられない。回りくどいんですが、「右・右・左・ジャンプして後」みたいな感じで、言葉に直してみると覚えられるので、どうも脳の中の「身体の動きを直接覚える部位」がかなり弱いのではないかと思っています(笑)。
幼稚園児の頃からそうでして、皆が右手を挙げてキメのポーズをしている中で、自分だけが左脚を挙げているなんてことはしょっちゅう。そーっと左脚を下ろすんですが、先生はお見通しです。「こら、またお前か!ちゃんと皆に合わせなさい!」合わせたい気持ちはやまやまなんですけれども……。
小学高学年にもなると、覚えるのを諦めて(おいおい)、周りを見ながら合わせるという戦略を取っていましたが、この戦略の難点は、少しタイミングが遅れるところにあります。勘の良い先生には、やはり「踊りをちゃんと覚えなさい」と叱られておりました。
高校では、授業でダンスを踊る機会がなくなりホッとしていたんですが、思わぬ所に伏兵が!剣道の「型」です。私の通っていた府立高校では、体育の授業の一環として「剣道」があったんですが、担当の先生がとにかく「型」にうるさい人なのでした。私としては、一応教わった通りにやっているつもりなんですが、どうやら先生の眼には「型」を無視した全くの無手勝流に見える様子。やはりここでも、こっぴどく叱られるのでした。
今は人前でダンスをさせられるという機会もなく、すっかりそんなことを忘れていたんですが、どうやら息子にもこの「才能」が引き継がれた気配が濃厚です。
幼稚園の運動会で息子を見ていると、踊っている時、視線が隣の子に注がれている。しかも身体の動きが他の子より微妙に遅れている。なんでそんなところが似るんでしょうか(苦笑)。
実際、幼稚園の先生にも、小学校の先生にも「ダンスをもう少し頑張りましょう」と言われたようで、つくづく、血は争えないと実感します。
息子には、「パパもダンスは全然ダメだったよ。でも、そんなこと気にしなくていいよ。大人になったら何の関係もなくなるから。」と言っていたんですが、「努力しないことを奨励してどうする」と妻に叱られ、なるほどと納得。今は、「パパもダンスは嫌だったけど、それなりに頑張ってたよ」と言うようにしています。う~ん、ちょっと後ろめたいものが……。