今まで見てきた生徒達を振り返って思うんですが、ノートを取るのが速い生徒は、ほぼ間違いなく「出来る」生徒です。
難関大学に現役で入っていくような生徒の場合、私が板書し終わって振り返るのと、彼・彼女らが書き写し終えるのがほぼ同時というイメージです。授業は著しくスムーズに進みます。
彼・彼女らの場合、私が黒板に書き始めた瞬間に、即座に書き写し始め、ほぼ同じスピードで書き取りながら、考えをトレースし、その内容を頭に焼き付けています。それが証拠に、次の授業日に答案を提出してもらってチェックしてみると、前回の授業内容・指導箇所がしっかり反映されています。
彼・彼女らとても、小学生1年生からそうだったとは考えにくいわけで、小さな頃からのトレーニングの賜物なのでしょう。
逆に、ノートを取るのが遅い生徒は、まだまだ勉強に身が入っていないと言わざるを得ません。私が結構長い文章を板書していても、一向に筆を動かさない生徒が時々います。もちろん、背中で書いていないムードを感じるので(そこは経験で分かる)、「早く書きなさいよ」と注意しながら、板書することになります。
で、振り返ってノートを見てみると、一字も書かれていなかったりします。私が板書している時間は休憩時間だと思い定めているのかもしれませんが、これではスムーズに授業が進みません。
しつこく筆写するように注意して、ようやく書き写してもらうんですが、この時点で、ノートを取るのが速い生徒に大きくひけを取っています。1回の授業でも大いに差が出ているので、1年で見ると莫大な差になっているでしょう。小学・中学・高校の12年間で見ると……考えたくない(笑)。
中学受験生にも時々、こちらがビックリするぐらい素早くノートを取れる子がいますが、まず間違いなく成績がよい。最初は理解という内実が伴わないでも構いませんから、教師が板書し始めたら速攻で筆写するという習慣を身に付けてもらいたいと思います。そうした姿勢はいずれ理解につながってゆくはず。
もう少し言わせてもらえば、即座に筆写できる能力というのは、大人になってからのデスクワークと大いに関係する事務処理能力だと思っています。