分厚くなる中学教科書(中学教科書の改訂)

小学校の教科書は今春から厚くなっていますが、中学校で使われる教科書も、来春(2012年度)から随分厚くなります。

このブログでも何度か書いていますが、いわゆる「ゆとり教育」からの揺り戻しです。

教科書検定:中学教科書、25%厚く 「脱ゆとり」を反映--結果公表 – 毎日jp(毎日新聞)

文科省によると、各教科の平均ページ数(B5判換算)を合計すると、9教科の3年分で計5485ページ。04年度分や00年度分に比べ、1078~1438ページ増えた。中でも大幅に増えたのは理科(04年度比45%増)と数学(同33%増)で、00年度と比べるとそれぞれ78%、63%の大幅増となった。

 理科は「原子の周期表」や「イオン」、数学では「2次方程式の解の公式」など、高校に先送りされていた内容が復活した。理科には新たに「DNA」や「地球温暖化」も加わった。
(上記記事より引用)

小学教科書と同じく、理数系の重視が顕著ですね。理科に至っては2000年度に比べて、1.8倍です。

しかし、現時点でも消化不良を起こしている理数系科目。ここまで教科書内容を増やしたところで、あまり効果はないだろうというのが私の見方です。実際、学校の授業数や日数が増えるわけではなく、増えた内容の指導については、原則として各学校や教師の判断に委ねられるようです。あまり期待しない方が……。

大人の立場に置き換えてみると、「仕事時間と給料は同じだけど、仕事の量だけは2倍近くになるよ、頑張ってね!」ということです。素直にイエスと言える人は多くない(笑)。

増加する部分の多くの指導は、各学校や教師の判断に委ねられるわけですから、高校入試に出題されることはないでしょう。となれば、現状ですら不足気味の授業時間の中で指導する必要性は乏しいと判断されるはず。結局、あまり大きな変化は生じないのかもしれません。

塾としては、どのように対処すべきか考えねばならないところですが、教科書実物を見、各学校がどう指導するかを見てからでないと決めかねるところもあります。ま、我々の宿題といったところです。

文部科学省からすると、学校の教科書は無謬(間違いがない)であり、教科書を変えれば教育の根幹が大きく変化する、という建前なんでしょうが、私からすると、教科書を少し変えたぐらいで、一国の教育や学力が大きく変わるとは思えません。全員にフィットする教科書がない以上、クラスを徹底的に少人数化し、学力に応じた指導をする以外に道はない。この国にそんな予算があればいいんですけどね……。