1月も明日で終わり。今年の12分の1が終了してしまいました。本当に時間が経つのが早くて困ってしまいます。
特にこの時期は塾の繁忙期。新年度の授業準備やら、テキストの選定発注やら、新規塾生の募集やら、確定申告やらで、忙しく立ち働く日々であります。
さすがに本を読みながら仕事をするわけにはゆきませんが、聴きたい音楽はそれなりに聴くことが出来ます。「ながら」で鑑賞できるのが音楽のいいところ。仕事上の雑用をこなしながら音楽をよく聴いています。自営業のメリットの一つですね(笑)。
馬鹿な話ですが、高校生の頃、レコード(その頃はCDがまだありませんでした)を一ヶ月に30枚買うことが夢でした。つまり一日一枚新しいレコードを聴く、一年に365枚聴くという夢です。
高校生の頃は、使える金額も限られていますから、熟慮に熟慮を重ねてレコードを購入していました。今よりもレコードは高かったですし、気軽に試聴できる環境もありませんでしたから、何度も何度もジャケットを眺めたり、書店で名盤リスト本を立ち読みしたりして(買えよ)、ようやく購入に至るわけです。
面白い音楽だと、天にも昇る気持ちで何度も何度も聴きます。いいの買えたよな!これは世紀の名盤だよ、こんな名盤を見つけられる俺ってスゴイよな、と阿呆な考えに浸りながら(笑)。
問題は、期待はずれのつまらない音楽だった場合です。返金してもらうわけにもゆかず、仕方なく我慢して何度も聴く。う~ん、やっぱりつまらない。売りに行っても二束三文ですし、もったいないので我慢してまた何度も聴く。
ただ、そのうちに「あれっ?」と思う場合がしばしばあります。何か今、このミュージシャンの言いたいこと・やりたいことが少し分かったような……。それが糸口になって、いつの間にか愛聴盤になったというケースもあります。全てのレコードではないですが……。
今考えてみると、あの頃は、一番真剣に音楽に向き合うことができていた時期なのかもしれません。物理的な制約が、逆に音楽を深く鑑賞させるという逆説。
時代は変わって、2011年。さすがに高校生の頃よりは使える金額も増えました。加えてCDなどの音源は昔より遥かに安くなっています(特にクラシック)。また、音源はリアルな物体としてではなく、ネット上のデータとして購入するのが主流になってきましたので、試聴も簡単です。
じゃあ夢が実現して、CDや音楽データを買いまくっているのかというと、それほどでもないんですね。不思議と。音楽熱が下がったとは思わないんですが、あまり新しいものを追いかけ回さなくともいい、本質的に面白い音楽を何度も聴きたい、という風に変わってきました。
仮に私が80歳まで生きられるとすれば、残り時間は40年程度。一日一枚新しいCDを聴いたとしても、365×40=14600枚です。計算すると身もふたもありませんが、たったの14600枚……。しかもその中には(主観的に)愚にも付かない音楽もあるはず。もう今日は何も聴きたくないという日もあるでしょう。本当にいい音楽に出会って、繰り返し繰り返し聴くということも計算に入っていません。
そう考えてみると、つまらない音楽を聴いている暇はありません。本当に面白いと思えるものだけを聴かないと!本もまた然り。
「命短し、恋せよ乙女」と、独りごちてしまう41歳の冬であります。