テレビの凋落・テレビ離れ

何年も前から思っていることですが(そして何回かこのブログでも書きましたが)、テレビや新聞が、その存在意義をどんどん失いつつあります。

私自身のことを考えてみると、テレビの視聴時間はほぼゼロ、新聞を読む時間は以前に比べて3分の1ぐらいに減少したでしょうか。

時間は有限ですから、いきおい有益かつ便利なコンテンツを優先することになりますが、個人的には、テレビは論外です。有益でもなく便利でもない。

テレビに関しては、「スポンサーが離れる→番組制作コストカット→番組の質低下→視聴率低下→さらにスポンサーが離れる→以下ループ」という流れで負の連鎖が起きているわけですが、一個人がそんな負の連鎖に付き合う必要もありません。

おそらく、世の中の多数の人もそれに気づいてきていて、視聴率が低下してきているのでしょう。

具体的な数字は下記のブログが分かりやすいですね。

Blog vs. Media 時評 | 視聴者のテレビ離れが歴然とするグラフが出た
http://blog.dandoweb.com/?eid=109301

テレビ局側も、営業利益が右肩下がりで危機感を抱いているはずですが、どうにも手を打てないというのが現状じゃないでしょうか。利益が減少してゆくのは、不況の影響だけではなく、むしろ構造的なものですからね。

新聞の投書欄なんかを見ていると、「最近のテレビはつまらない」とか「テレビ番組の質が落ちて嘆かわしい」という声が定期的に上がってきます。

おそらく、系列のテレビ会社に面と向かってケチを付けるようなマネが出来ないので、読者の声を借りて新聞社がさりげなく意見を表明しているんだろうと理解していますが(笑)、実際に一般人からそうした投書があるのも事実なのでしょう。

私が冷たいのかもしれませんが、凋落していくメディアに一生懸命エールを送ったって仕方がないですよね。平成の世で、瓦版を読んでいる人はいませんし、ポケベルを使う人もいません。あっさり次のメディアに乗り移れば済む話です。みんな暖かい気持ちでテレビ業界を眺めているんだなぁ、と少なからず驚いてしまいます。


政治関連の話題には踏み込みませんが、今回の「尖閣諸島ビデオ流出問題」も、テレビの凋落を裏書きしているように思います。

(犯罪になるかどうかは別として)映像をもって世に意見を表明しようとする場合、かつてはテレビ局にビデオテープなりDVDなりを送る、というのが普通だったと思うんですね。

しかし、今回はいきなりYouTubeへのアップロードです。「sengoku38」なる人物には、テレビ局に送れば、政府の顔色をうかがう上層部に握りつぶされるという考えがあったのだろうと思います。

加えて、YouTubeをはじめとするネットメディアに、自分でアクセスできる層が十分に成熟しているという判断があったのではないでしょうか(ブログをお読みのあなたも、そうした層に属していると思います)。

流出行為の当否は論じませんが、もし上記のようにメディアを捉えていたとしたら、現状認識としては正しいように思います。

この件に限らず、YouTubeの動画をたれ流しているバラエティ番組やニュース番組が多いという話をよく聞きますが(ほとんどテレビを見ないので伝聞ですみません)、制作費をケチっている点はともかく、何か志が低くて嫌な気になります。

塾で言えば、よその塾の授業を無料で録画してきて、それを自塾で放映して「授業」と称しているようなものじゃないでしょうか。それで授業料をいただけるはずはありません。