今日(2010.05.23)のニュースによると、宮崎県の口蹄疫が更に拡大し、代表的な種牛である「忠富士」までもが殺処分されたとの話。
ずいぶん前、日本の農業や畜産業について本を数冊読んだことがあるんですが、これがまた知らないことだらけで面白い。農業・畜産業の現場から程遠いところで暮らしている私のような人間にとっては、興味深い話だらけです。
中でも特に印象に残ったのが「種牛業界」の話。
種牛の仕事は、繁殖用の精液を提供すること。塾のブログには少し不適切な気がするため、液採取の方法は詳しく述べませんが、まぁ、人間で言えばしょっちゅう女遊び(?)をしているような感じでしょうか。他牛のように屠殺されて肉になるどころか、年がら年中遊びほうけ(?)、しかも飼育者からこの上もなく手厚いもてなしを受けて一生を送る牛なのです。
そして、収入。種牛一頭がいくら稼ぎ出すと思われますか?私が本を読んだのはかなり前のことですが、その時点で平均2000~3000万円程度/年だった様に記憶しています。
裏を取ってみると現在でもそれぐらいのようです。やや古いニュースですが、下記の記事から計算してみると、一頭あたり2130万円の稼ぎ。
無償貸与の種牛の精液販売、33億円の収入 日テレNEWS24
今回の種牛は、「県の宝」とされるエース級だったそうで、比べものにならないぐらいの稼ぎがあったのではないかと想像します。
もちろん、法的には稼いでいるのは種牛の「所有者」なんですが、感覚的には「牛」が稼ぎ出しているように見えますよね。そう考えてみると、種牛以上に稼ぎ出している人間というのはなかなかいない。種牛以上に稼ぎ出している人にしても、種牛に比べれば遥かにハードな仕事をされているのではないでしょうか。
私、牛にボロ負けであります……(涙)。
冗談はさておき、殺処分された家畜、それ以上に畜産を生業とされている方々の気持ちを考えると、暗澹たる気持ちになります。口蹄疫禍が一刻も早く終息してくれるとよいのですが。
<追記>
今日の朝刊によると、「忠富士」の場合、精液の入った試験管を年間37900本生産、一本あたり5000円程度になるとのこと。5000×37900=189500000 、2億円近い稼ぎ高ということになります。