キース・ジャレットのC.P.E.バッハ

何だか妙に忙しい日が続きます。

最近よく聴いている Greta Van Fleet のニューアルバムに “The Falling Sky ” という曲があるんですが、その中にこんな歌詞があります。

I don’t wanna lose this time.
I just wanna let it pass.

そうなんですよね、時間を失いたくない、でもそれは無限の時間を欲しているという訳ではないんです。時を時として自然にあらしめたい、という気持ち。ちょっと抽象的ですかね。ま、今の気持ちに彼らの歌詞がぴったりフィットします。

音楽の話が続きますが、この夏を振り返ってみて一番よく聴いたのは、キース・ジャレットの弾くCarl Philipp Emanuel Bach 。曲は “Württemberg Sonatas” 。カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(C.P.E.バッハ)は、J.S.バッハの息子さんです。

キース・ジャレットは原則としてジャズ畑の人ですが、バッハの演奏にも定評があります。もちろん私も彼のバッハは何度も聴いていますが、それにも増してこのC.P.E.バッハのソナタが胸に響きに響きます。

C.P.E. Bach: Württemberg Sonatas / Sonata No. 1 in A Minor, H. 30 – I. Moderato

7月初頭、AppleMusicの新着盤を眺めていて、「ん?キース・ジャレットってC.P.E.バッハの曲を録音してたっけ?」と思いつつクリックしたその日から、「ヴュルテンベルク・ソナタ」漬けになりました。

ウェブの記事を読むと、30年前の録音で公開されていなかったんですね。なるほど。

1994年5月に自宅スタジオで録音され約30年間眠っていた今回の録音は、「ヴュルテンベルク・ソナタ」全6曲を収録。「チェンバロ奏者による『ヴュルテンベルク・ソナタ』を聴いて、ピアノ版のための可能性が残されていると感じた」とジャレットはコメントしている。初期C.P.E.バッハ作品の特質である、音楽の穏やかな遊び心、微妙で突然のテンポの変化、並外れた波打つような発明…これらすべてのソナタの表現的な意味合いを、現代最高峰の即興演奏家でもあるキース・ジャレットは瞬時に同調し見事に表現している。

キース・ジャレットによる未発表クラシック録音が発売決定 」より引用

副代表と車で移動する際にもよく聴いていたんですが、「これバッハやけどモーツァルトやね」みたいなよく分からない感想に(笑)。部分によっては左手が思いっきりモーツァルトしているところがあるというのが副代表の弁。(ピアノを弾けない)私も同意。バロックで古典派、古典派でバロック。

7月後半は某ロックバンドの結構轟音のライブにも出かけたんですが、ライブハウスへの行き道も帰り道もこのアルバムを聴いていました。自分の中で「躍動感のある静→激しさの極みにある動→再び躍動感のある静」というメリハリを無意識に楽しんでいたのかもしれません。

しかしどうしてこんなに音楽って面白いんですかね。世の中にはその他にも面白いことがありすぎるのに、時間は本当に少なくて困ってしまいます。