テイラー・スウィフト Tiny Desk Concert

今までに何度か記事にしてみたことのある Tiny Desk Concert なんですが、本当にいつも素晴らしいコンテンツを提供してくれるYouTubeのチャネルです。このチャネルで素晴らしい音楽と出会ったことは数知れず。既知のミュージシャン・楽曲の知られざる一面を発見することもまた然り。運営者のセンスがキラリと光る最愛のチャネルの一つです。

NPR Music Tiny Desk Concert – ダーティ・ダズン・ブラス・バンド

NPR Music Tiny Desk Concert の2017年を振り返る

で、最近出演したのが超ビッグ・ネーム、テイラー・スウィフト。全編見ましたが、いいですね。彼女の魅力が遺憾無く発揮されています。

今日はバックダンサーがいなくてごめんね(彼女のコンサートでは華麗なダンサーが花を添えます)、でも曲を書いた時の感じが伝わるといいと思うの、ということでシンプルな構成になっていて、それもまた良し。

(公式に投稿されましたので、掲載していた予告編を本編に入れ替えておきます。”Tiny Desk is one of my favorite corners of the internet” と彼女も言っているんですが、全く同感!)

Taylor Swift: NPR Music Tiny Desk Concert

何がいいって、楽器と歌が上手い。歌手ですから当たり前なんですけれども、どこかの国はそうでない歌手が一杯いすぎて、その「当たり前」を忘れそうになりますよね(笑)。

テイラー本人が曲間で語っていますが、幼い頃から血が滲むほどギターの練習を積んできたとの由。彼女の手には、ギターの弦を張替える際の怪我も未だに残っているそうなんですが、そうした「傷」も一緒に受け止めてくれる人が「恋人」なのよと(ちなみに最近発表された最新アルバム名は “Lover” )。もちろん、その「傷」は隠喩でしょうが、彼女が言うと説得力がありますね。

上記の件からも言えることですが、人の気を逸らさない話術もあるんですよね、彼女。曲を歌う時以外は、アメリカ人女性らしいフランクさがあります。

恋の何たるかを知らない、ということは、もちろん失恋の悲しみも知らない幼い頃から「失恋」の曲を書いてきたという話もしていますが、失恋の悲哀は芸術的・音楽的なエモーションと親和性が高いですよね。幼い頃からアーティスティックな感性のある女の子だったんでしょう。

あと、エゴサーチ(自分に関する検索をすること)はしない!そしてみんなにもそれをお勧めするわ!なんて話もいいですよね。彼女のようなセレブにこそ、そうした姿勢を発信してほしいんですよね。だって、人の評価や目を気にして生きるなんて下らないことですから。

ただ、時々父親が彼女に関する情報を検索してくれているとのことで、いい親子だなと。家族ならポジティブな情報だけを伝えてくれるでしょうし、マーケティング的に「あの曲すっごく受けがいいぞ」といった情報も入手できるわけですから。いい考えだ!

前から書こうと思っていたんですが、テイラー・スウィフトって、本当に現在のアメリカ人女性(特に20代30代女性)の「憧れ」かつ「ロールモデル」になっていると思うんですよね。実際、このミニコンサートの客席でも、ほとんど彼女を崇めるようにして曲を歌っている女性がちらほら見えます。

歌唱力よし、楽器も上手い。美貌にも恵まれ、テイラー軍団とも称される超一流セレブ達との交友関係、そして自力で富を稼ぎ出す力にも恵まれている。

その一方で、不合理とは堂々と渡り合う。パワハラやセクハラには容赦なく物申し、訴訟も辞さず。自分に対するセクハラに関して損害賠償額1ドルの訴訟を起こしたことも記憶に新しいところです(もちろん勝訴)。金額から明らかなように、彼女は自分の誇りのためというより、「職場でセクハラ被害にあっているすべての女性たちのために立ち上がった」ということが伝えられています。

節は曲げないテイラーですが、ファンには神対応することも有名です。このコンサート内でも、「はい、これギターのピックあげるね〜」と幼い子にピックを手渡すシーンがありますが、すごく自然。普段からそういう性質の人なんでしょう。

そんなわけで、人気が出ない方がおかしい。もちろん、私も大好きな女性アーティストの一人です。今回の新作 “Lover” も発売初日から聴いていますが、落ち着いた感じのアルバムで気に入っています。 個人的には “1989” みたいな派手なアルバムも好きですけれど。

今回のお気に入りは、”Miss Americana & The Heartbreak Prince” かな。

They whisper in the hallway, “She’s a bad, bad girl” (Okay)
学校の廊下で皆がささやく。「彼女は嫌な女ね」

I don’t really wanna (Fight)
‘Cause nobody’s gonna (Win)
本当に闘いたくなんてない
誰も勝者にはなれないんだから

彼女の人生におけるストラグルが垣間見えて、とてもいい歌詞です。

そうそう、個人的には、10代の女の子達の「神」ビリー・アイリッシュのことも気になっています。彼女もすごくいい歌手なんですよね。”WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?” は名作。またこの話はいずれ。