「習っていない漢字を使ってはいけない」という謎ルール

そろそろ仕事モードに戻って来つつありますが、お休み中ということで、少し勉強をしていた正月三日。まあ、勉強といっても内容は半分仕事なんですけれど……。

さて、今日は小学生漢字指導の現場からのレポートとでもいきましょうか。

生徒から聞くんですが、小学校には「習っていない漢字を使ってはいけない」という謎ルールを徹底する担任の先生が時々いらっしゃいます。もちろん、何らかのお考えに基づく指導なんでしょうが、私どもからすると、学校の七不思議の一つのように思えます。

何よりマズいのは、漢字学習に意欲的な子達のやる気を殺いでしまう点です。一生懸命頑張ってむずかしい漢字を覚えたぞ!先生見て見て!ぼく・わたしはこんな字も書けるんだよ!

教える側はやっぱり、そんな子供たちの気持ち(向学心と言ってもいいでしょう)をくみ取る義務があると思うんですよね。

おおっ!すごいね!もう上の学年のも書けるんだ!がんばったね。もっと上の学年の漢字を使ってもいいよ。私達の基本スタンスはこちらの方です。もちろん、間違っていればそこは指摘します。「この漢字はこう書いた方がいいね。でも難しい漢字を覚えようとするのは偉いよ」と褒めながら。

私の姓は「宮田」ですが、「宮」は小学3年生配当漢字、「田」は小学1年生配当漢字となっています。「厳格」な先生は固有名詞たる氏名にも「未習漢字を使ってはいけない」という先述のルールを徹底されるので、小学1年生・2年生は「みや田」と書かねばならないことになります。う〜む、不細工。

息子が小学低学年だった頃、テストの氏名欄に「みや田」と書いていたのを見て、「自分の名前ぐらい漢字で書けるだろう」と尋ねたところ、先生に怒られたりはしないけれど、できるだけ習っていない漢字は使ってはいけないルールになっているとの由。「んじゃ別に使ってもいいやんか、『宮田』って」と言いますと、「やっぱりルール破りみたいでいやだ」との返答。う〜む、強制規定じゃないんだから、クラスで独りだけ違っててもええやんかと思う私はデリカシーに欠けるのでしょうか(笑)。

最近バズった下記ツイートを拝見したのが、この記事を書き出したきっかけ。

このツイート(や担任の先生の御指導)に多くの人々が賛同なさったようでして、私も意を強くしました。そうですよね、教える側が子どもの学ぶ気持ちを阻害してどうするのか。もし自分の知らない漢字を子供が書いてきたら、「すごいな!先生もその漢字知らんかったわ!ちょっと調べるから待ってな〜」でいいと思うんですよね。

向学心のあるような子どもって、まず間違いなく「この先生バカだな」とは思いません。むしろ、「えへへ、先生も知らないような漢字を書けるようになった!もっともっといっぱい調べておぼえよう」となります。だから、大人の威厳がどーたらこーたらなんて考えなくていい。

私?私は生徒の攻撃(?)をできるだけ迎え撃っております。

「先生、『こおろぎ』ってどう書くのん?」

「べつに覚えなくていいけど『蟋蟀』って書くよ。」

「先生、『信天翁』ってなんて読むか知ってる?」

「知ってるよ。「あほうどり」。英語では『アルバトロス』って言うんだよ。」

塾としては一応威厳を保っておかないとね(笑)。