小学生への助詞の指導は難しい

日本語の助詞って指導が本当に難しいんです。助詞一つで文章のニュアンスが大きく変わることもありますから、無視できない要素なのは確かなんですが、小学生(特に低学年)にはこれがなかなかの難物。

また別の記事で書こうとは思っていますが、経験的に、「読解力の弱さ」と「助詞への習熟度の低さ」は確実にリンクしていまして、当塾ならそこを補助する教材が作れるんじゃないかと構想を練っているところです。


大人も助詞でミスってしまうことは大いにあり得ます。先日iPhoneでニュースを読んでいた時に見つけた記事。この見出しを見てどう思われますでしょうか?(文字着色はブログ作成者による)

「ヘンリー王子夫妻アカデミー賞出演を断っていた」

「え?誰が断ったんだろう?ヘンリー夫妻が誰かに出演を依頼したのかな?でも、そもそもアカデミー賞出演を依頼する権限なんてヘンリー夫妻にあるのか?」

そんな風に思って記事を読んでみると……

英王室を離脱してカナダで新生活をスタートさせたヘンリー王子とメーガン妃夫妻が、9日にロサンゼルスで開催された第92回アカデミー賞授賞式でプレゼンテーター役をオファーされていたことが明らかになった。(中略)夫妻この申し出を断ったために実現には至らなかったという。

何だ、「ヘンリー王子夫妻アカデミー賞出演を断っていた」のか。紛らわしい見出しですね。

本来なら、次のようにしておくべきでしょう。

1.上記のように、はっきりと主語を示す格助詞「が」を用いる。

「ヘンリー王子夫妻アカデミー賞出演を断っていた」

2.助詞は用いず読点だけを用いて、主語であることを示す。

「ヘンリー王子夫妻アカデミー賞出演を断っていた」

他にも、係助詞「は」を用いることも文法的には可能でしょうが(「ヘンリー王子夫妻アカデミー賞出演を断っていた」)、ニュースの見出しとしてはモタモタした感じがしますね。2のように、読点(またはスペース)で主語を表すのが最もスマートかなと思います。


こんな風に大人でも難しい助詞。小学生なら使いこなせなくても当然ですよね。

そもそも小学低学年の子供たちは「助詞が難しいこと」自体に気付かないもの。より正確に言えば、助詞の概念すらまだ持っていません。気付かないうちにスラスラ使いこなせるようにしてあげられれば、というのが当塾のスタンスなんですが、まだまだ研究の余地ありというところですね。