全国学力テスト(2008年) #2

全国学力テストの問題・正答率を眺めていて気になった点がいくつかありますが、特に気になったのは次の点。

中学校数学Aの問題です。
(応用的な数学Bとは異なり基礎的な問題。中学3年生が受験。)

下のアからエの中に、3a+4b という式で表されるものがあります。それを1つ選びなさい。


1辺acmの正三角形と1辺bcmの正方形を、それぞれ針金で1個ずつ作ったときの針金の全体の長さ(cm)


3人がa円ずつ出し合ったお金で、b円のりんごを4個買ったときの残った金額(円)


3gの袋にagの品物を入れ、4gの袋にbgの品物を入れたときの全体の重さ(g)


3分間にaリットルの割合で水が出る蛇口と4分間にbリットルの割合で水が出る蛇口から、水を同時に1分間出したときの水の量(リットル)

正解は「ア」ですが、新聞によると、それぞれの選択肢を選んだ児童の割合は下記の通りです。

ア 32.7% イ 13.7% ウ 36.4% エ 16.3%

私の感覚からすると、この問題は、「(公立中の)数学の授業をそれなりに理解できているか・数学の授業についていけているか」のリトマス試験紙になっている気がします。

というのもこの問題、文字式の書き表し方を除けば、遅くとも小学6年生で理解すべき内容の問題なんですね。(地頭の良い子供だとおそらく小学3-4年ぐらいで解くことができると思います。)

経験上、中学3年生の段階でこの問題に正解できなかった生徒は、おそらく単純な計算問題を除き、文章問題のほとんどを解くことができない状況にあると思います。

つまり、全国的に見て、正解者32.7%以外の67.3%は数学の授業があまり(もしくはほとんど・全然)理解できていないということになりそうです。

この事態、どう捉えるべきか。
数学力や論理的思考力の劣化を嘆く?

そういう考えの方もおられるでしょうが、私の場合、中学生の平均的な理解力というのはこのぐらいであると割り切った方がよいような気がします。

やや暴論かもしれませんが、現在の中学数学のカリキュラムは、(公立)中学生のうち6割強の能力を超えてしまっている、そう考えるところから始めるべきであるように思えてなりません。

この件、とくに結論を出そうとは思いませんが、正直に上記の事柄を認めてカリキュラムやクラス分けを考える時期に来ているんじゃないでしょうか。