「三密」なんて言葉は、今年に入るまで聞いたこともありませんでしたが、今では子供でも知っている有名な言葉になりました。新型コロナウイルス感染を防ぐために、「密閉・密集・密接」を避けようという文脈で使われるわけですが、世につれて言葉が発生・変化していくことの好例ですね。
「密」という漢字にはいくつかの意味があります。重要な意味を挙げてみると、
1.すきまなく詰まっている様子。こみあっている様子。
2.ゆきとどいている様子。くわしい。もれがない。
3.かくれて見えない様子。ひそかに。秘密の。
「三密」=「密閉・密集・密接」という言葉は、1の意味で使われているわけですね。
2の意味は1から派生した意味でしょう。「ギッチリつまった」解説は、「くわしく漏れのない」解説でもありますから。ただ、漢辞海によると、「『密』は『蜜』である。蜜が塗られたところのように、どこにもすきまがないのである」という説が紹介されています。なるほど、その考えにも説得力がありますよね。
「厳密・細密・詳密・精密・綿密」なんて熟語を思いだしていただければ、細かく行き届いた様子がつかめるかと思います。
で、3の意味ですが、「密会・密通」でバッシングされている芸能人を思いだしてもらえれば。彼の行為からは、女性だけでなく、すべての他人を侮っている感じが垣間見えてしまいますよね。老若男女を問わず憤慨している人が多いのも納得です。佐々木希ちゃん、可哀想すぎる……って、塾ブログ向きではないので、別の熟語で書いてみましょう。
「最近、三密がダメっていうことになったやんか。」
「うん。」
「それ以来、仕事が上手くいってなくて……。」
「そうなん?」
「密航して密輸・密売するのが無理になったし……。」
「塾の仕事はどうなってんの?ていうか、三密以前から全部違法やんか!」
「そうやったん?知らんかった〜。今後は海外に出るのも難しそうやし、密輸・密売だけにしとくわ〜。」
「どっちもあかんって!」
「そうか……。もう密猟と密漁に仕事替えするわ……。」
もちろん、本気にされては困るんですが(笑)、「ひそかに。秘密の。」という字義には、どこか後ろ暗いイリーガルなイメージがあることがご理解いただけるかと。
ちなみに、タイトルの「密密」という熟語は実在しまして、「びっしりと細かいさま」「勤勉に努める様」「きわめて秘密であるさま」を表します。
さて、今日も「密議・密計・密談」の三密を避けて、仕事に励みましょう。