どうも忙しい日々が続いていますが、先月のことを思えば随分ペースは落ち着いてきました。風光る季節の到来です(塾ブログなので申し上げておきますが、「風光る」は春の季語です)。
さて、先日のピエール瀧の逮捕。別にファンでもないので、個人的にはああそうですか、という感じだったんですが、一番最初に気にかかったのが「関西電気保安協会」のこと。
色々な芸能人が「やらかして」しまって、官憲のお世話になる。すると異常なほどの速さで、出演していたTV番組は放映中止、映画は公開中止、音楽は配信中止に至る……。
これっておかしいですよね。TV番組であれ、映画であれ、逮捕された人だけではなく、多くの他者が関わって製作されたものですから、その人達の努力や熱意を無にしてしまうことになるわけですし。犯罪者が出演していたところで、何が問題になるのか。役者の私生活とドラマや演劇は無関係だと思うんですけどね。
他者の行為による責任を問われることはないということは、近代法の大原則。つまり「連座制」なんてのは例外中の例外でなくてはなりません。もちろん、放映中止・公開中止なんて話は法的な問題ではなく、自主規制の範疇だと思いますが、連座制を肯んじる前時代的なムードがどこかに残っているんでしょうかね、この国には。
「封建の世の残滓、本邦に強く残存したりと言はざるべからず」なんて書くと、明治時代の啓蒙思想家みたいでちょっとカッコイイかもしんない(笑)。
で、最初の話に戻りますが、「関西電気保安協会」が何を思ったか、電気グルーブ(ピエール瀧在籍のテクノユニット)にサウンドロゴのアレンジを依頼したようで、テクノ的なアレンジのPVが公開されました。つい2週間ほど前の話です。
「関西電気保安グルーヴ」│関西電気保安協会【公式】
これ、ひょっとしたらお蔵入りになるんとちゃうん、可哀想に……。と思ってYouTubeのコメントを見てみると、このサウンドロゴ、石野卓球だけが編曲に携わっていたようで、ピエール瀧は無関係っぽい。セーフでした、関西電気保安協会。
「関西電気保安協会」というこの硬い固有名詞、関西人ならメロディを付けずに読むことがほとんど不可能ではないかと思われるんですが(笑)、よく考えてみるとこれ、言葉と音階の密接不離な関係を垣間見せる一例ではないかと。
「ホテルニューアワジ」然り、「奈良健康ランド」然り、「(とんかつの)KYK」然り。一定以上の年齢の方々ならお分かりいただけるかと思いますが、強烈にすり込まれたメロディーに束縛されて、それ以外のイントネーションで発音できませんよね?「あさひ美容外科」とか「ピアノ売ってちょうだい」とかも入れてもいいかも。
これらを研究すると、イントネーションの後天的獲得についての論文が書けるかもしれない(笑)。