震災からもう十年・まだ十年 再び「ナニクソ節」を

もう十年ですね、東日本大震災発生の日から。東北から遠く離れた地に住まう私達にも大きな衝撃を与えた震災でしたが、被災地の方々が筆舌に尽くし難い困難を味わわれたであろうことは想像に難くありません。

被災地の外にあった私達には「もう十年」ですが、被災地にお住まいの方々には「まだ十年」なのかもしれません。今日だけは、地震国家に住まう全国民が、家族や未来を突然奪われた人々の思いを真剣に共有してもいいのではないかと思います。


十年前の地震発生数日後に、私の好きな吉野寿氏が『ナニクソ節』という曲を発表しました。当時その曲についてブログ記事を書いたんですが(よく読まれてきたようでとても嬉しく思います)、紹介した私自身、この曲には心を奮い立たされてきました。

吉野寿(イースタンユース)『ナニクソ節』

制作時、吉野氏の胸中には被災地のことがあったのは言うまでもないことでしょうが、今聴いてもそのメッセージは普遍性を持っており、一ミリたりとも古びていません。

実はこの「ナニクソ節」、イースタンユース名義で2015年に発表されたアルバム「ボトムオブザワールド」に、バンドアレンジで再度収録されており、吉野氏がこの曲を本当に大切な曲だと考えていらっしゃるのが察せられます。

私は2015年のイースタンユースバージョンをよく聴いているんですが、いつ聴いても新鮮な気持ちになるんですよね。こちらのバージョンがYouTube上に見当たらないので、再度アコースティックバージョンをご紹介しておきますが、もし機会があればイースタンユースバージョンも是非。

十年前の被災地の風景を想って聴いていただければ。

(2021.04.01追記:イースタンユースバージョンを発見したので動画を差替えておきます。)

eastern youth – ナニクソ節

引用部分はすべて吉野寿『ナニクソ節』から。

雲を割って光の束が降ってくる
花を散らして激しい風が吹いてくる

私がバイクに乗っていて最も好きな瞬間の一つ。雲の隙間から神々しい光。激しい風に舞い散る桜。自然は人事に関知せず。国破れて山河あり。

俺達が今立っているのは
そうだぜ世界のど真ん中さ!
膝が震えるのは生きてる証さ!
握り拳は闘いの決意さ!

不遜かもしれませんが、私はいつも自分のいる場所が世界の中心だと思っています。地球は球体、どこがその真ん中かは自分が決めればいい。人は皆、大なり小なりかよわき存在。そのかよわき存在が、震えながらも闘いの決意を胸に秘める、それはとても尊く美しいこと。

道順なんて何処にも書いてねえ
近道なんて俺にはわからねえ
それでも俺は明日を呼んでいる
声が嗄れたって呼び続けている

そうですね。これからも塾として何をなすべきなのか、模索しながら進んでいきたいと思います。