政治に一切関わらないのは一つの立派な見識だと思う – グラミー賞授賞式に関して

先日、グラミー賞の授賞式が行われました。ブルーノ・マーズが重要な賞を獲得したというニュースを聞いて、他の賞のリストを見ているところなんですが、この賞、やっぱりなかなかの見識を感じさせるんですよね。米国ポピュラー音楽文化が高いレベルにあることは否定できません。

https://www.grammy.com/grammys/awards/60th-annual-grammy-awards

なるほどと私が思ったのは、次の受賞者達。

Best Pop Solo Performance : Ed Sheeran “Shape Of You”

この曲の話は前に書きました。彼のビート感、本当に素晴らしいと思います。

Best Pop Duo/Group Performance : Portugal. The Man “Feel It Still”

えええ、このバンドってそんなに売れていたんですか?いつの間に?デンジャー・マウスにプロデュースを断られたけれど、諦めきれなくて自宅まで押し掛けたとかいう記事をずいぶん前に見た気が(そして失礼ながら断られたことにすごく納得した気が)したんですが。いいバンドですけどね。

Best Rock Album : The War On Drugs “A Deeper Understanding”

うおおお(うるさい)!分かってるなあ、グラミー賞!昨年の6月ごろシングルが発表されてから、ものすごく気になっていたんですよね、このウォー・オン・ドラッグズ。で、夏ごろに出た上記のアルバムがめちゃくちゃ気に入って、ひたすら聞いていたんです。息子とドライブに出かけた時も、こればっかり。日本ではまだあまり知名度も高くなさそうなので、色々書こうと思っていたんですが、これでドカンと売れるといいなあ。

Best American Roots Performance : Alabama Shakes “Killer Diller Blues”

あらあら、この間書いたばかりのバンドが受賞していますね。YouTubeで該当曲を聞いてみましたが、納得。

Best Traditional Blues Album : Rolling Stones “Blue & Lonesome”

これも去年聴いてました。「自家薬籠中のブルース」とでも言うか。伝統芸能の域です。

あと、ラップ系の賞をケンドリック・ラマーがかっさらっていくのも、妥当なところでしょう。


で、私が言いたいのはここからなんです。前ふりが長くてすみません。

なんでも、授賞式でヒラリー・クリントンがトランプ大統領に関する暴露本『炎と怒り トランプ政権の内幕』の一節を朗読する一幕があったとの由。

う〜ん、なんだかなぁ……。

もちろん、米国の音楽業界や映画業界が民主党びいきというか共和党嫌いであることは、私もよく分かっています。

ただ、そんな政治色を音楽に持ち込まなくてもいいと思うんですよね。トランプ大統領支持者の中にも、この音楽ショーを楽しみにしていた人は多かったはずですし。そうした人々からすると鼻白む思いがしたのでは。

一応、お笑い風の演出だったようですが、それでも、というかそれだからこそ、製作者の底意地が見えてしまって、極東の国に住む私からしても、何となく気持ちが萎えます。上述のように、受賞メンバーの選定眼には確かなものがあるんですから、それだけで勝負したほうがいいと思うんですよね。実際、視聴者数は前年度よりかなり減ったとのこと。

当塾は音楽業界に属しているわけではありませんが(当たり前だ)、政治色は一切出さない、完全なノンポリとして運営する、ということを決まりにしています。

政治的な意見を表明しない・何らかの政治的な立場に属しないというのは、それはそれで立派な一つの政治的見解だと思うんですよね、個人的には。

というか、この年齢になってみると、もう政治なんて面倒くさいことは誰かやっといてくれよ、政治家には分からないだろうけれど、世の中にはもっともっと美しく楽しいことがあるんだよ、頼むから邪魔だけはしないでくれよ、なんて気持ちになってしまっています。

もちろん選挙の際、ちゃんと投票には向かうんですけれども、選ぶ基準は「一番自分の邪魔をしなさそうな人・政党」になっています(笑)。