言い得て妙

米国のメア前駐沖縄総領事の失言が話題になっています。何でも、「沖縄はごまかしとゆすりの名人で怠惰だ」とのたまったとか。私は沖縄県民でも米国人でもありませんので、特に論評すべき立場にはありませんが、思い出すことが一つ。

随分前の話になりますが、とある政治家が、公式の場で大阪を評して「痰壺のような町」と発言したことがあります。もちろん大問題になりました。(ちなみに、この政治家、その後首相になったんですが、面白いほど頭の中身をすぐに言葉にしてしまう人で、「失言総理」の名をほしいままにしていました。)

「痰壺のような町」と評された大阪人、もちろん面白くないわけで、在阪文化人がマスコミに色々なコメントを寄せました。曰く、「大阪の文化を何と心得る」「大阪に謝罪せよ」「けしからん」などなど。

まぁ、もっともな意見ではありますが、論争としてはあまり面白くない。

しかし、たった一人きらめくコメントを残した人を私は忘れていません。中島らも氏です。彼が某雑誌に掲載していたエッセイにはこう書かれていました。

「言い得て妙!」

もちろん、らも氏のエッセイはそこで終わりません。手元に記事がないので、不正確ではありますが、概要こういう感じの論旨でした。

まさに大阪は痰壺のような小汚い町であり、大臣の評価は極めて的確だ。しかし、石川県出身で東京に住んでいる人間に言われる筋合いはない。「ウチの嫁はん、ブッサイクやねん」と言うのは何の問題もないが、「オマエの嫁はん、ブッサイクやな」と言うと大きな問題になるのと同じである。

らも氏らしい最高の切り返し方だと思います。

個人的には、今回の沖縄問題も、沖縄県民からの気の利いたコメントを期待しています。沖縄はそれだけの文化を持っている風土だと思うのです。

余談ですが、中島らも氏は、生前玉造にお住まいでして、時々町でお見かけしました。飄々としていて、まさにあの文体そのものの風貌。亡くなって随分経ちますが、未だに惜しい人を亡くしたと思います。