日曜日の同業者

宮田国語塾の方では、2月が年度開始月となっておりまして、ここ数ヵ月は中学入試直前対策授業のかたわら、ひたすら新規の生徒さん向けに体験授業を行ったり、保護者様と面談を行ったりしておりました。

開講前の体験授業は、面談を兼ねてお一人お一人別々に実施していくので、どうしても時間が掛かってしまいますが、私の方としても新しい生徒さんを具体的・立体的に理解していくという大切な機会です。

今年もやる気に溢れた生徒さんが集まってくれまして、無事開講に至りました。昨年度の生徒さん達も立派な合格成績を収めてくれ、私どもとしてもやる気に溢れる新年度でございます。

ただ、この時期は確定申告を初めとした多大な雑務が発生する頃でもありまして、それを考えると、ちょっとやる気が……(笑)。いやいや、大人たる者、そんなことでへこたれてはなりませんね。時々、雑務なしで授業だけに専念できたら、この稼業どんなに気楽だろうかと思うんですが、そんなに甘い話はございません。明日も領収証整理しなきゃ、はぁ……。


つい最近の日曜の午前、家から少し離れたマクドナルドに出かけて、コーヒーを飲みながら個人的な勉強をしていたんですが、少し離れた席に、年のころなら60代後半と思しき男性が座っていらっしゃいました。

ノートPCに向かい、何やらお仕事をしていらっしゃる模様でしたが、よくある風景なので特に気にも留めておりませんでした。で、お手洗いに立った際に、その男性の横を通ると、あららら、見覚えのあるというか、親しみのあるというか、仕事に引き戻されるというか、そんな書類に書き込みを入れていらっしゃるじゃないですか。

その書類は、赤本(大学入試過去問題集)のコピー。どこの大学かまでかは分かりませんでしたが、明らかに大学入試国語の問題です。

受験生なら、答案を作成したり、模範解答を参照したりという作業をするでしょうが、その方は文章をかなり熱心に読まれた後、再度その文章の先頭に戻ってラインを引かれていたんですよね。しかも何度も同じ問題の箇所を検討しては、何やら書き込みを入れていらっしゃる模様。これは、社会人受験生ではなく、大学受験国語の指導をなさっている方ですね!

そもそも、受験生なら赤本そのものを利用するでしょうが、指導する側ってあまりそうしないと思うんですよね。再度同一の問題を利用して授業をする機会があり得ますので、授業準備資料を保存しておく必要がありますが、赤本そのものを置いておくと、莫大なスペースが必要となってしまいます。それに、赤本本体から準備資料を探し出すのに大変な労力が掛かってしまいます。

そんなわけで、指導者の場合は入試過去問を複写して、そこに書き込みをいれていくことになります(そしてその書類を保存しておく)。私は閲覧の便宜を図るため、授業準備書類をスキャンしておき、電子的に管理しておりますが、そうした書類の数は4桁に達しております。こんなのリアル書籍だったら床が抜けます(笑)。

さすがに声を掛けるような無粋な真似はしませんが、その御仁に勝手に親しみを覚え、ついついチラチラ見てしまいました。とても熱心にお仕事をなさっていて、共感を覚えます。先程までPCを叩いていらっしゃったのは、模範解答なんかを作成していらっしゃったのかもしれません。

塾で教鞭をとっていらっしゃるのか、それとも高校で教壇に立っていらっしゃるのかは分かりませんが、休日の少なくとも3時間は仕事に費やしていらっしゃる。実際、私もこの日、帰宅してからはひたすら雑務をこなしていたわけで、なかなか「休みの日」が「休みの日」になりませんよね〜と肩を組みたい気分でした。


関西の中学入試ですと、1月中旬〜下旬にはほぼ全日程が終了しますので、そこから塾としては、新規の生徒さん・保護者様の応対や多大な雑務をこなす方向に舵を切れるんですが、大学入試を担当していると、1月中旬は共通テストが終了した段階に過ぎません。そこから前期入試や後期入試や小論文指導等々が続きますので、場合によっては3月中旬まで忙しい日々が続きます。

この2ヵ月の差を初めとして、休日を返上しないと授業の準備が終わらない生活には、少なからず無理がありまして、昨年からは大学入試対策をご希望の方の受け入れは無期限停止としています。ご希望下さる方には申し訳ないんですが、もう塾運営と、中学入試指導、大学入試指導のすべてをこなすのは不可能だと感じています。

そんなわけで、今期も中学受験生を中心に(もちろん受験しない生徒さんも大歓迎です)、国語力・読解力・得点力向上のお手伝いが出来ればと考えております。2025年も気合いを入れて頑張ろう!