iPadと読書スタイル #3 (書籍電子化のメリット・電子書籍)

「iPadと読書スタイル #2 (書籍収納問題の解決)」の続きです。

前回ご紹介した通り、書籍を裁断し、スキャンして汎用的なPDF書類を作成するわけですが、出来上がりは物理的な存在ではなく「データ」ですから、保存するのに大変便利です。PC上で活用するのも簡単ですしね。

ただ、モニタ上でじっと「読書」するのは辛いものがあります。そこでiPadの出番。iPadが発売される前から、PDF書類を扱えることは分かっていましたしたので、それを見越して、どんどんデータ化していたわけです。

ちょっと話はそれますが、日本でもようやく端緒に付いた電子書籍。様々なメーカー・出版社が色々な規格・端末を打ち出していますが、失敗することはほぼ確実だと思っています。

関係者の方がご覧になっていたら申し訳ないんですが、個人的には「汎用的」なデータ形式以外は全く信用していません。各社が独自形式を打ち出すのはいいんですが、ソニーのデータ形式はシャープの端末で読めないとか、海外のデータ形式は取り扱えないとか、そんな規格・機械に(電脳オタク以外の)一般人が飛びつくとは思えません。そうした市場に、多数の書籍や専門書が出てくるはずもなく、何の魅力もありません。そのうち開発が終了し、購入した書籍データは読めなくなる……。今回も今までの歴史を繰り返すだろうというのが、私の考えです。

その一方で、汎用的なデータであれば、将来にわたって読めなくなるということはまず考えなくて良いレベルに達していると思います。

文字で言えば、テキストデータやPDFデータ。
画像で言えば、JPEGデータ。
音声で言えば、MP3データ。

こうした汎用的データが手軽に取り扱える端末というと、現状ではiPadが最も使いやすく安価だと思います。が、他の類似のタブレット端末も含めて、多大なメリットがあります。

☆ 書籍収納場所の問題が解決できる
これは先述の通りです。

☆ 端末に何百冊と入れられる
現時点でだいたい60冊程度をiPadに入れていますが、容量はせいぜい3GB程度です。数百冊は手軽に持ち運べる計算になります。旅行などに出かけるときは、「あれを読もうか、これを読もうか」と悩んでいましたが、悩む必要がなくなりました。何冊かを併読するのも簡単。

☆ 書籍本体と電子版が手に入る
書籍本体も消えるわけではありません。電子データ(PDF書類)はiPad上で読み、書籍本体は風呂場などで読むということをよくしています。書籍本体は読んだら廃棄。活字が大きめの本だと、iPhone上でも読めるので、1冊で3冊分利用できます。書籍分身の術なり。これが最近の読書量増加に大きく寄与してます。

☆ 暗いところでも読める
私の場合、布団に入ってから本を読むのが無上の喜びなんですが、暗いところでも読めるのは本当にありがたい。以前ですと、枕元のスタンドを付けて本に熱中、ふと後ろを振り返ると、寝ていたはずの息子が肩越しにじっと本を見ていた、なんていうことがよくあり、妻にも叱られていたのでした。iPadだと怒られなくて済む(笑)。

☆ 辞書との連携
英語の文章だと、時々辞書を調べたいことがあります。わざわざ紙の辞書をもってこなくても、iPadにインストールしてある辞書で即座に調べて解決することができます。

ちょっと投資して手間をかけるだけで、多大な利益が享受できる。それが現時点での私の正直な感想です。

最近は、購入直後=読む前に書籍を裁断し、加工してから読むようになりました。したがって「読書待機棚」はこんな感じ。毛皮を剥がれたクマのようですけれど……(笑)。さすがに、しばらく置いておきたい本は、裁断せずそのままにしています。

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新聞のコラムで、「自炊文化」を嘆く記事を見かけたことがあります。「書籍を分解するなんて、書籍への愛情が足りない」という主張でしたが、何を言っているのやら。

書籍著者の観点からすると、書籍は新品で買ってもらえて、そして読んでもらえてナンボのはず。ブックオフで買われたところで、著者には一銭の利益も入りません。また、新刊で買われたところで、読まれなければ、著者の意図は理解されません。

裁断&データ化するにせよ、ちゃんと購入して、しっかり読んでいるんですから、これ以上どうやって愛情を示せと言うのか(笑)。もっと言えば、裁断した書籍はブックオフに売れなくなりますから、ある意味、上客中の上客とも言えるわけです。


これから先、書籍を裁断せずに自動的にスキャンできる機械もできてくるでしょう。実際、東大でそうした機械を開発しているということを聞いたことがありますので、実用化されるのは時間の問題のはず。

これは出版界にとって大きな脅威となることが容易に想像できます。法律面・道義面はともかく、事実上、図書館で書籍を借りてきてスキャンして返却するということができてしまうわけですから。

ミュージシャンの多くが食べていけなくなっているのと同じく、作家やライターにはかなり厳しい世界が待ち受けているような気がします。それが文化にどういう影響を及ぼすのか……。

私は書籍や文章を売って生活するものではありませんから、高みの見物ですが、大きな考えの変化が必要になることだけは間違いないでしょう。