履く・穿く・佩く「はく」三態

「身に付ける」という意味の「はく」という動詞は、漢字から見ると三種類に分けて考えることができます。

履く(はく)」は、履き物を足につけるという意味。したがって、靴やスリッパをはくという場合は、「履く」を使うことになります。「履」には、「はく」だけではなく、「くつ」・「ふむ」という訓読みもあるということを知っておくと便利でしょう。

次に、「穿く(はく)」は、足を通して衣類などを下半身につけるという意味になります。したがって、ズボン・スカートをはく場合は、「穿く」を使います。意外に書けない漢字じゃないでしょうか。「穿」は「うがつ」とも読みますが、これは、穴をあけてとおすという意味。ズボンやスカートも脚が穴を通っているイメージですから、大いに共通性があります。「雨だれ石を穿つ」なんていう諺も覚えておくといいですね。

最後に、「佩く(はく)」は、刀や矢などの武器を腰につけるという意味です。ちょっと雅語の域に入っています。「佩」は「おびる」とも読みます。「佩刀(はいとう)・佩剣(はいけん)」(=腰に刀や剣をつけること)といった熟語がイメージを喚起してくれるかと思います。


先日、息子とお風呂から上がってみると、息子の着替えパンツがありません。

「ありゃ、持ってくるの忘れてきたな。仕方ないから、とりあえずパジャマを着ておいて、後でパンツを穿くようにしなさい。」

「は~い。でも、パパもいつもパンツはいてないやんなぁ。」

「おいおい、いつでもちゃんと穿いてるぞ。」

「え~っ、ぼく今日、幼稚園でみんなに『ぼくのパパいっつもパンツはいてないねん』って言うてしもた。」

「アホかっ!ちゃんと穿いてるわ!」

「それで、クラスの中でちょっとニュースになってん。」

しょーもないことをニュースにするなっ(笑)!」

朝の幼稚園への送りは、私が行っているんですが、息子と同じクラスの年長児達に「あっ!パンツをはいていないお父さんや!」と思われてそうで、少し鬱です。パンツを見せて歩くわけにも行きませんし……。