中学入試国語の選択式問題に関する一考察

中学入試まで残すところ2ヶ月弱。宮田国語塾ではこの時期、小学6年生に志望校の入試過去問演習を中心とした授業をしているんですが、以前にも書いた通り、各授業がそれぞれ異なる内容になります。

ということで、毎日ひたすら授業準備をしているんですが、中学校によって出題傾向が大きく異なるのは、皆さんもご存知の通り。各中学入試問題の比較・検討・研究を行う日々です。

私にとって、中学入試国語の問題を解くこと自体は、さほど難しいことではありません。よほど妙な問題でない限り、記号選択問題ならほぼ瞬時に正解を見つけられます(仕事ですから当たり前)。が、私の本当の仕事はそこから。

例えば、選択肢がア・イ・ウ・エ・オと5つ用意されているとします。私からすると、答えは「ア」だなと(解くというより)直感的に気付くんですが、生徒さんがどの選択肢を選ぶかは分かりません。したがって、授業準備としては、各選択肢の不都合な点を見破っておかねばなりません。そして、その点がなぜ不合理なのか、どうしてその選択肢を選んではいけないのかを分かりやすく説明できるようにしておかねばなりません。

授業準備のうち、自分で問題を解く部分はだいたい10パーセント未満のイメージでしょうか。残り90パーセント以上、つまり授業準備の大部分は、どうしてこの選択肢を選んではいけないのか・どうしてこの選択肢は正解だと言えるのかを説明できるよう、ひたすら考えたり書類に書き込んだりすることに費やされます。

その中で気付くことなんですが、選択肢の合理性・不合理性の説明がやたらに付けにくい入試問題があるんですよね。どこの中学校かは伏せておきますが、毎年毎年そうなので、その学校の先生方もしくは入試問題作成担当者のお考えなのだろうと思います。これは受験生と指導者泣かせ。

いや、先述したように自分が正解を導くのは簡単なんです。直感的にこれが正解だなと分かる(より正確には、この出題者はこれを正解だと考えさせたいんだなと分かる)。しかし、説明を付けるのにはかなり骨が折れます。具体的には、各選択肢がニュアンス的なレベルでの差異しかなく、論理的な差がほとんど認められないとか、出題文から本当にそこまで読み込んで良いのか躊躇される選択肢が正解になっているといったケースですね。

こういう問題にあたると授業準備に時間が掛かることになるので、嫌なんですよね(笑)。もっと嫌なのは受験生でしょうけれど。

上記のような説明の付けにくい選択肢を、私は「粘性の高い選択肢」と呼んでいるんですが、個人的には、中学入試レベルでは、論理性でくっきりとコントラストの付いた選択肢を判別させる出題の方がいいんじゃないかと思います。つまり「粘性の低い選択肢」で十分に読解力は判定できるのではないかと考えています。

まあ、ぶつぶつ文句を言っても仕方がありませんね。受験生も私も頑張らなくては。