読解力は複利的 – 読解力は雪だるま式に向上するもの

今日は、いくら力説してもし足りない話を。

読解力(国語力)は複利的なものだという話です。

「複利」というシステムは大人であれば誰もが知っていると思いますので、あまりくどくどと説明するのは失礼に当たるかもしれませんが、一応確認をば。小学生向けの国語辞典『例解学習国語辞典』には、こう説明されています。

ふくり【複利】
利子を元金にくり入れてそれを元金とし、それにまた利子をつけるという利子のつけ方。[対] 単利。

例えば、元金が100万円あるとします。年利は5%とでもしておきましょうか。1年後に発生する利息は、1,000,000円×0.05=50,000円ですね。

単利の場合は、この50,000円を手にした段階で使ってしまいます。イエ〜イ!焼肉と寿司に行って豪遊だ!(想像力が貧困ですいません。)

複利の場合は、この50,000円を無駄遣いせず元金に繰り入れます。2年後に発生する利息は、1,050,000円×0.05=52,500円。この調子で行くと、年々元本+利息の額が上昇していきますね。

で、10年後どうなっているかを考えてみましょう。

利息をパーッと使う単利の場合、10年後も元金は1,000,000円のまま。

複利でやってきた人の元利合計は以下の通り。

1年後 1,000,000円×1.05=1,050,000円
2年後 1,050,000円×1.05=1,102,500円
3年後 1,102,500円×1.05=1,157,625円
4年後 1,157,625円×1.05=1,215,506円
5年後 1,215,506円×1.05=1,276,282円
6年後 1,276,282円×1.05=1,340,096円
7年後 1,340,096円×1.05=1,407,100円
8年後 1,407,100円×1.05=1,477,455円
9年後 1,477,455円×1.05=1,551,328円
10年後 1,551,328円×1.05=1,628,895円

10年後の元利合計額は、約163万円にまでなるわけですね。複利で行けば、金銭が「雪だるま式」に増えていくことがよくお分かり頂けるかと思います。

なんでこんな細かい計算を紹介するのかって?
それは、「読解力の向上」って、この複利計算とそっくりだからなんです。

真面目にコツコツやっていれば、金銭と同じことが起きる。つまり、「雪だるま式」に読解力は向上していくわけです。

幼い時、文字を一つ一つ覚え、簡単な文章が読めるようになる

その読解力を元にして、少し難しめの文章が読めるようになる
加えて文章から得た知識が蓄積される

さらに向上した読解力や知識を元に、もう少し難しめの文章が読めるようになる
加えて文章から得たさらなる知識が蓄積される

以下繰り返し

金銭ですと、背に腹は代えられない事態が発生して取り崩す必要があったり、金利が低下したりということがありますが、読解力や知識の場合、その心配は不要です。一度身に付けば、失い得ないし奪い得ない。コツコツ努力すれば必ず身に付いてくる上に、その読解力が「雪だるま式」にさらなる読解力を生む。

しかも読解力やそれを元にして身に付けた知識は、国語で役立つだけではありません。算数・数学にも、理科にも、社会にも、英語にも役立ちます。というか、読解力なしにどうやって勉強を進めるというんでしょうか。すべての教科が「言葉」で書かれ「言葉」で教えられる以上、「言葉の力≒読解力」なしに太刀打ちできるはずがありません。

入学試験はもちろん、進学後の勉強、社会人になってからの仕事、どんなフェーズでも大きな武器となる読解力。これって、金銭以上の価値があると思うんですよね。お金で読解力を買うことは出来ないけれど、読解力があればお金を稼ぎ出すことは可能ですから。

私たちは強くそう思っているが故に、子どもの間にしっかりとした読解力・国語力を身に付けてもらい、「複利的」に力を蓄えていけるような指導を心がけています。

まあ、幼い子どもたちに簡単に伝わる話ではないので、「ちゃんと勉強を頑張ったらどんどん賢くなるよ」ぐらいに簡略化して伝えているんですけどね(笑)。


話は変わりますが、一橋大学に経営戦略論を専門とされる楠木建という先生がいらっしゃいます。書かれるものがとても面白いので、私は楠木先生のファンなんですが、次の記事を見て驚きました。

仕事の時間軸―その1 ゆっくりと – Executive Foresight Online:日立 https://www.foresight.ext.hitachi.co.jp/_ct/17720732

大人向けに、仕事や資金運用の話として書かれていますが、読解力について私の考えていることとほぼ軌を一にする内容です(ますますファンになりました)。この記事を読んで、以前から思っていた「読解力の向上=複利」の話を書こうと思った次第。

楠木先生のお話を、上記記事より少し引用してみましょう。

お金を増やす方法、資金運用の王道は、低リスク・低コスト・長期分散投資です。慌てず欲張らず、ゆっくりと構えることが結局は近道になる。この裏側にあるメカニズムで重要なのが、「複利」です。はじめの儲けはわずかでも、その小さな儲けが元本に組み込まれて前よりも少しだけ大きくなっていく。これが複利のメカニズムで、これを繰り返しているうちに、雪ダルマ式に大きくなっていく。

 

これを、当塾の主張に置き換えるとこうなります。ほぼコピペですが、ご寛恕の程を。

「読解力を向上させる方法、学力向上の王道は、慌てず欲張らず、ゆっくりと構えることです。それが結局は近道になる。この裏側にあるメカニズムで重要なのが、「複利」です。はじめの向上はわずかでも、その小さな向上が元本に組み込まれて前よりも少しだけ大きくなっていく。これが複利のメカニズムで、これを繰り返しているうちに、読解力・学力は雪ダルマ式に大きくなっていく。」

アインシュタインが残したとされる言葉も引いておきましょう。

複利は人類の最も偉大な発明だ。それを理解している者はそれを得る。そうでない者はそれを支払う。

 

是非、人類の最も偉大な発明である「複利」から「雪だるま式に」「得て」もらいたいと思っています(「支払って」しまう人が跡を絶たないんですが……)。

ちなみに、「読解力の養成にはゆっくりと構える姿勢が必要」という話は、楠木先生の上記記事を読む前に書いております。ご興味のある方は、そちらもお読み頂ければ幸いです。

慌てる学びは貰いが少ない – 読解力は着実に身に付けるもの