入試や大事な試験の際は試験会場近くに宿泊すべし

昨日あたりから、東日本を中心に大荒れの空模様となっているようですね。大学入試センター試験が今週の土曜日から始まりますが、受験生の皆さんに気を付けてもらいたいのが、受験会場までのアクセスです。

私、受験生にはいつもこう言っています。

大事な試験については、試験会場の近隣に宿泊すべし。交通機関を信じるべからず。

入試は冬まっただ中に行われるにも関わらず、都会(特に関西)の交通機関は、降雪等に対して非常に脆弱です。ちょっと雪が降るとダイヤが乱れ、場合によっては完全に麻痺してしまうことも。それ以外に、人身事故によってもダイヤがしばしば混乱します。

こんな脆弱なものに、今までの懸命な努力を無にされてはたまりません。ある意味、一生が変わってくるかもしれない。悪いことは言いません。大学入試、特に二次試験については、当日電車で行ける場所であっても、入試会場近隣に宿を取るべきです。


思い出話もしておきましょう。私が高校生がだったころ — 随分昔の話になってしまいました、つい最近の様な気がするのに(笑) — の話です。

昔からどちらかというと勉強は得意な方でして、高校生の頃も模試の成績は良好でした。大体は、数学はまぁそれなり(苦笑)、国語・英語で荒稼ぎ、というパターンでしたが、全科平均の偏差値でたいてい75はあったんですね。

そんなわけで、模試はA判定しか取ったことがありませんし、学校の先生も「お前はどんな大学でも現役で行ける」と評価してくれていたんですね(ちょっと自慢、エヘン)。理系進学には全く興味が湧かなかったので、あくまで文系進学の話ですが。個人的には東京に行くなんて気持ちはさらさら無く、「そりゃ京大に行くしかないだろう!」なんて考えていた私は、生粋の関西人でございます。

私は小学校も中学校も高校もすべて家の近所、徒歩数分という学校に通っていました。高校(府立高津高校)に至っては、中学校よりも近かったぐらいです。学校から近い生徒は自転車通学禁止だったんですが、こっそりと自転車で通っていたので(すいません)、高校への通学所要時間は3分程度。

そんな環境でしたから、朝の満員電車に著しく耐性がありません。乗っているだけで精神的に疲労することこの上なく、それだけで一日の労力を使いそうな感じすらします。私、ちょっと閉所恐怖症気味なんです。通勤通学で何時間も満員電車に揺られている方々を本当に尊敬します。

さて、高校生活も無事終了に近づき、いよいよ大学受験本番となった際、まずは共通一次試験(確か共通一次試験最後の年だった)を受験したわけですが、そこまで深く考えていなかった私は、宿を取るはずもなく、気楽な気持ちで友人と共に会場に出向きました。通勤客のいない日でしたから、満員電車といっても高がしれているんですが、私にとっては非常にしんどい移動時間でして、かなり後悔。成績は悪くはありませんでしたが、二次試験に向けての課題が見つかりました。

「試験で全力を発揮するためには、移動に労力を使ってはダメだ。それに加えて、降雪や人身事故などで交通機関が麻痺することも考えられる。そんなのに巻き込まれたら、いくら大学側が善処してくれても、かなりのハンデを背負うことになる。二次試験は大学のそばに宿泊しよう。」

そんなことを考えたのは私だけのようで、友人には「お前の家から京大まで1時間ぐらいだろ、それぐらい我慢しろよ」「それ贅沢すぎるやろ」と言われましたが、失敗して浪人するより親に迷惑はかからないはず。で、宿を探し出し始めましたが、京大近辺のホテルはすべて予約でいっぱい。そりゃそうですよね、宿泊一月前に京都の宿を探そうという方が悪い。最終的には、京都に住む親類のつてを頼って、何とか京大病院のそばに二泊分の宿を取ることができました。

「ここなら京大キャンパスまで徒歩数分だし、這ってでも入試会場に向かえるぞ。むしろ大雪が降って交通機関が麻痺して欲しいな、そしたら俺めっちゃ有利なんだけどな〜」なんてバカなことを考えていた頃、受験票が届きました。

「えーっと、入試会場は……、げげっ!京大キャンパスと違うやん!関西文理学院ってどこやねん!」

そうです、その頃は大学のキャンパスが手狭になっていたのか何なのかよく分かりませんが、各学部持ち回りで入試会場を大学の外に借りていたのでした。たまたま私が受験した年は法学部が当たり年だったわけです。後で知りましたが、関西文理学院は京都の有名な予備校(現在は閉校)。入試会場が予備校って、模試と変わらへんやん……。しかも京大から結構離れてるし……。

いまさら宿を変えるわけにも行かず、そのまま宿泊することにしたんですが、これが結構良かったんですね。

入試前日、のんびりと京都入りし、京大キャンパスをウロウロ。再来月にはここの学生になれているといいんだけど……と思いながら丸太町通り沿いの喫茶店に入りコーヒーを飲んだりして、気分だけは大学生です。

で、宿に向かうも目印になる京大病院がどこだか分からない。道行く人に「すみません、京大病院ってどこでしょうか?」と尋ねたところ、大笑いされました。京大病院の真ん前で京大病院への道を尋ねる奴はまぁそういない(苦笑)。

そんなことからも分かるように、その頃の私は京都の地理に不案内でしたから、宿から関西文理学院までバスなどの公共交通機関で行くのが不安でした。そもそもバスは時間通りに運行されないことが多いですし、満員バスで疲れるのも嫌だ。

そこで、贅沢ついでにタクシーで移動することにして、朝は宿の前までタクシーを回してもらうことにしました。これがなかなか良かったんですよね。周りの受験生がみんな歩いて会場に向かう中、一人だけ悠々とタクシーで登場(笑)。「運転手さん、会場そばまでお願いします」なんて、生意気な高校生ですが、入試の二日間とも、とても優雅な気分で入試会場入りできたのでした(他の受験生からするとちょっと顰蹙ものですが)。

これって、馬鹿らしいとお思いかもしれませんが、私はとても重要なことだと思っています。特別な日はちょっと贅沢をして気分を盛り上げた方がいい。それで成功につながるのなら、その贅沢は必要経費だと言っていい。

気分的なことだけではなく、出発ギリギリまで寝ていられましたから、入試本番で頭をフル回転させて全力を出し切ることにも役立ったように思います。そんなこんなで、入試にも無事合格しました。


思い出話が随分長くなりましたが、満員電車に慣れていない人はもちろん、満員電車に慣れている人も、大事な試験については、試験会場の近隣に泊まることをお勧めします。交通機関を過信するべからず。