鉄拳『振り子』とMUSE(ミューズ)

先程知った興味深いニュース。

“泣ける”鉄拳のパラパラ漫画「振り子」が英ロックバンド・MUSEの正式PVに (RBB TODAY) – Yahoo!ニュース

鉄拳という芸人さんをご存知でしょうか。変わったメイクと衣裳で「こんな○○はいやだ!」というネタをよくやっている人です。彼のネタは、自分で書いた「絵」を提示しながら話すというスタイルなんですが、その「絵」自体がいつも何とも言えない味をかもし出しています。私も以前から彼の芸風が好きです。

さて、鉄拳氏、今年に入ってかなりシリアスなパラパラマンガを公開し、ネット上でかなりの話題になりました。

そのビデオのBGMに使われていたのは、MUSE(ミューズ)というロックバンドの「Exogenesis Symphony Part 3 (Redemption)」という曲なんですが、何でも本日の報道によると、MUSE のメンバーがこのビデオをいたく気に入り、この曲の公式プロモーションビデオにするとの事。

明日(2012.10.31)より全世界的に配信されるらしいんですが、「大切な人との出会いと別れ」という普遍的なテーマを描いていますから、世界のどこであっても共感をよぶ作品なのではないかと思います。

MUSE もお気に入りのバンドなので(調べてみるとこのブログでもちょっと取り上げてました)、ちょっといい話だなと思った次第。

Muse: Exogenesis Symphony Part III – HD – Redemption (video oficial)


人間、誰でもいつかは死にますから、大切な人を喪うことは珍しいことではありません。そう頭では分かってはいる。しかし、いざそうなった時、事はそう簡単に割り切れるものではありません。

個人的な話になりますが、このビデオを初めて見たとき、末期の癌を宣告された父と過ごした最後の数ヶ月間のことを思い出しました。

一時退院していた父が家に戻っていた時のことです。入院時と異なり、抗がん剤の副作用にも悩まされず、おだやかに眠っている父の横で、疲れた私も身体をしばし横たえます。

「いつまでこうして父の隣で眠ることが許されるだろうか」「こんな穏やかな時間はあといくら残っているのだろうか」

お恥ずかしい話ですが、そう思うと、涙がとめどなく流れます。父には、癌であること自体は告知していましたが、余命までは伝えておらず(今でもそれで良かったと思っています)、涙を見せられません。起きてきた父には、何事もなかったかのように振る舞った覚えがあります。

「時間よ止まれ」

大切な人を喪いそうになった時、誰もが感じることではありますが、世の無常は誰もが受け入れざるを得ません。鉄拳氏の「振り子」は、大切な人を喪ったことのある人にこそ見ていただきたい作品です。