日本語教育能力検定試験勉強法 #2 出題範囲を押さえる

日本語教育能力検定試験の勉強で何よりも大切なのは、出題範囲を押さえておくことでしょう。出題されない事柄を勉強しても、試験勉強という観点からは無意味ですからね。

出題範囲はかなりの広範囲にわたりますが、大きく分ければ下記の五分野となります。

1.地理学歴史学的分野

2.社会学的分野

3.心理学的分野

4.教育学的分野

5.言語学的分野

どの分野ももちろん大切ですが、言語学と教育学を大きな骨組みと考え、社会学・心理学・地理学歴史学的な部分を周辺領域と捉えれば、勉強のメリハリが付けられるかと思います。

かなり長くなりますが、公式サイトから詳細な出題範囲を引用してみましょう。

(下記は、JEES 日本語教育能力検定試験出題範囲から引用しています。)

【出題範囲】
次の通りとする。主要項目のうち、「基礎項目」は優先的に出題される。ただし、全範囲にわたって出題されるとは限らない。

(赤字は「基礎項目」)

1 社会・文化・地域
1.世界と日本
(1)諸外国・地域と日本
(2)日本の社会と文化
2.異文化接触
(1)異文化適応・調整
(2)人口の移動(移民・難民政策を含む。)
(3)児童生徒の文化間移動
3.日本語教育の歴史と現状
(1)日本語教育史
(2)日本語教育と国語教育
(3)言語政策
(4)日本語の教育哲学
(5)日本語及び日本語教育に関する試験
(6)日本語教育事情:世界の各地域,日本の各地域
4.日本語教員の資質・能力

2 言語と社会
1.言語と社会の関係
(1)社会文化能力
(2)言語接触・言語管理
(3)言語政策
(4)各国の教育制度・教育事情
(5)社会言語学・言語社会学
2.言語使用と社会
(1)言語変種
(2)待遇・敬意表現
(3)言語・非言語行動
(4)コミュニケーション学
3.異文化コミュニケーションと社会
(1)言語・文化相対主義
(2)二言語併用主義(バイリンガリズム(政策))
(3)多文化・多言語主義
(4)アイデンティティ(自己確認,帰属意識)

3 言語と心理
1.言語理解の過程
(1)予測・推測能力
(2)談話理解
(3)記憶・視点
(4)心理言語学・認知言語学
2.言語習得・発達
(1)習得過程(第一言語・第二言語)
(2)中間言語

(3)二言語併用主義(バイリンガリズム)
(4)ストラテジー(学習方略)
(5)学習者タイプ
3.異文化理解と心理
(1)社会的技能・技術(スキル)
(2)異文化受容・適応
(3)日本語教育・学習の情意的側面
(4)日本語教育と障害者教育

4 言語と教育
1.言語教育法・実技(実習)
(1)実践的知識・能力
(2)コースデザイン(教育課程編成),カリキュラム編成
(3)教授法
(4)評価法
(5)教育実技(実習)
(6)自己点検・授業分析能力
(7)誤用分析
(8)教材分析・開発
(9)教室・言語環境の設定
(10)目的・対象別日本語教育法

2.異文化間教育・コミュニケーション教育
(1)異文化間教育・多文化教育
(2)国際・比較教育
(3)国際理解教育
(4)コミュニケーション教育
(5)異文化受容訓練
(6)言語間対照
(7)学習者の権利
3.言語教育と情報
(1)データ処理
(2)メディア/情報技術活用能力(リテラシー)
(3)学習支援・促進者(ファシリテータ)の養成
(4)教材開発・選択
(5)知的所有権問題
(6)教育工学

5 言語一般
1.言語の構造一般
(1)言語の類型
(2)世界の諸言語
(3)一般言語学・日本語学・対照言語学

(4)理論言語学・応用言語学
2.日本語の構造
(1)日本語の構造
(2)音声・音韻体系
(3)形態・語彙体系
(4)文法体系
(5)意味体系
(6)語用論的規範
(7)文字と表記

(8)日本語史
3.コミュニケーション能力
(1)受容・理解能力
(2)言語運用能力
(3)社会文化能力
(4)対人関係能力
(5)異文化調整能力

全範囲をしっかり勉強すべきですが、出題者側が赤文字で強調している分野はとりわけ重点的に勉強せねばなりません。前述したように、言語学と教育学の分野が最重要であることが、公式発表からも読み取っていただけるかと思います。

各自の興味や大学の専攻分野によって、得意分野・不得意分野があるとは思いますが、やはり言語学と教育学から勉強を始めるのが私としてはお薦めです。

個人的には、どのジャンルも勉強していて面白くためになりました。各ジャンルの勉強を振り返っての感想・効用は別記事にします。

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