原発事故のことばかりで申し訳ないんですが、考えれば考えるほど、大きな事件だと思えてきます。今後、徐々に国民の興味は失われてゆくんでしょうが、放射性物質の放出・漏洩が即座にとどまるわけではありません。私が住まうのは、福島からやや離れた大阪ではありますが、食という観点からすれば、決して他人事ではないでしょう。
英国の権威ある科学雑誌ネイチャーは、最悪の場合廃炉まで百年間かかるとの記事を掲載したそうですが、その頃には私も、モニタを眺めているあなたもこの世にはいないはず。仮に百年間という期間がおおげさだとしても、数十年のスパンで考えてゆかねばならないのは間違いなく、大変なものを子孫に残してしまっていることには違いありません。
政府も電力会社も「ある程度の」事実を認めだしていますが、後から「大量の放射性物質が漏れていたことが分かりました」と言われても、まさに後の祭り。実際、1ヶ月近く経ってから、「某月某日、どこそこに、一日で三年間分の放射性物質が降りました」なんて発表がひっそりとなされていましたが、その場(避難地域ではない場所です)にいた人々は泣くに泣けません。ニュース自体が伝わっておらず、知らぬが仏状態なのかもしれませんが……。
何度かブログにも書いていますが、こと命や身体に関するリスクは、最大限に見積もっておくのが賢明だと考えます。特に乳幼児や子供を抱えている家庭はなおのこと。私のまわりには、東日本から関西に戻ってきている人々がいますが、納得のいく行動です。
他の地域に移る人々を「臆病者」と揶揄する有名人もいましたが、見識を疑います。子供の命や身体・家族の安全を真剣に考えた末、移転することは「勇気ある行動」だと思うのです(もちろん、真剣に考えた末、福島に残るという苦渋の選択をなさる方々を否定する訳ではありません)。
地震発生からこの40日間、新聞には目まいのするような記事が毎日載せられています。記事の真意や数字を理解するために、私も少し勉強しましたが、こんなことを勉強しなくてはならなくなるなんて、震災以前には思いもしませんでした。
例えば、原子力安全委が被曝限度量を通常時の20倍に一気に引き上げることを検討しているというニュース。放射線に対する感受性が高いとされる妊婦・乳幼児・児童に対する特例はなし。
例えば、文部科学省が、福島県内の幼稚園保育園と小中学校の校舎などを通常利用する際の限界放射線量を、1時間当たり3.8マイクロシーベルトに設定するというニュース。
仮に1時間あたりの放射線量が上限の3.8マイクロシーベルトだった場合、1年間の総放射線量は、3.8×24×365=33288マイクロシーベルト、つまり、33ミリシーベルトを超えることになります。私の計算では、ここ大阪で浴びる放射線量の76~95倍程度。なお、上記の計算は、呼吸や食物・水を取ることによる内部被曝を考慮していませんので、実際の被曝量はこの数倍にのぼることが考えられます。
福島第一原発近隣の子供達の健康・安全は、もっともっと真剣に論じられてもいい話だと思います。その責務は、もちろん政府や地方公共団体にもありますが、現実的には、保護者や学校、教育委員会が命がけで動くしかないのかもしれません。部外者ではありますが、子供を抱える私には、身に迫る思いのする事実です。
大人は、今日明日のレベルではなく、五年後十年後を考えて、勉強し行動して欲しいと切に思います。