以前の記事の続きです。
奈良東大寺の写真を数葉紹介(クリックで少し拡大します)。
法華堂(三月堂)の隣にある二月堂。お水取りで有名ですね。関西に生まれてこの方住んでいながら、2年ほど前に初めてお水取りを見ました。小林秀雄がこの儀式を見て「バッハだ!」と評したということですが、何だか分かる(笑)。この写真を撮ったのは夕刻、西日に二月堂が映えて美しい時刻です。
二月堂の前にある木は良弁杉。文楽や歌舞伎が好きな人なら、『良弁杉由来』という作品があるので、良弁僧正のことをよくご存知だと思います。この杉の前に立つと、故吉田玉男師の遣う上品な良弁が昨日のことのように思われて涙が……というのは私のような文楽ファンだけでしょうかね(笑)。ご存知でない方のために、良弁僧正伝説を。
滋賀県志賀に長らく子宝に恵まれなかった夫婦がいた。子が欲しい夫婦は観音様にお祈りする。その御利益か、玉のような男の子を授かる。大事に大事に育てていたが、母親の畑仕事中、鷲がその赤子を大空へと連れ去ってしまう。母親は狂人となり、何十年もの間、息子を捜し求めてさまよい歩く。一方、息子は鷲に奈良まで連れ去られていた(どれだけ飛ぶねん)。鷲はとある杉の木にこの赤子を引っかけて飛び去ってしまう。お坊さんに発見された赤子は良弁と名付けられ、学問を積み立派な高僧となる。数十年後、高僧となった良弁と老母が奇跡の出会いを果たす……という話でございます。
まぁ、伝説ですし、現在の良弁杉は何代目かの良弁杉ですので、この木に良弁僧正がひっかかっていたわけではないんですけれど、学問ができたにちがいない良弁僧正にちょっとあやかりたい気持ちもあって、ツーショット。顔はご勘弁を(ご期待になるほどのものではありません)。
しかし、東大寺は夕景がよく似合うお寺だと思います。写真の下手な私が安いデジカメで撮っても、こんな感じに。
今の奈良の一押しスポットは「志賀直哉旧居」。直哉ファンなら一度は訪れて損のない所です。私は志賀直哉の大ファンなので、新装なってしばらくしてから訪れたんですが、大興奮でした。ミーハー野郎です(笑)。
また気が向けば志賀直哉旧居フォトレポートも書きたいと思います。