いきなり元日から震災が起こってしまうなんて、2024年の前途多難ぶりを象徴しているのではなかろうかと少し不安になってしまいます。被害に遭われた方々に心から同情しますが、大したことができるわけでもなく、無力さを感じる正月です。
能登半島は本当に素晴らしいところで、個人的には暇ができたらついふらっと行ってしまいたくなる場所です。我が家から能登半島の付け根まで、だいたい300km強。
いわゆる「距離ガバ勢」に属する私は、一日に1000kmぐらいならバイク移動も平気の平左衛門。自動車ならバイクに比して5倍は楽ちんですから、一日1000kmぐらいの移動なら、鼻歌混じりです。息子もその血を引いたようで、長距離移動を苦にしないので、二人で旅行に出ると、距離がガバガバと延びてゆきます。
そんなわけで、私や息子にとって往復600km強の能登半島は、格好の日帰りドライブ・ツーリング先。北陸文化が何か好きなんですよね。大阪人からすると、滋賀県の北部あたりは北陸文化圏の入口。食べ物や家の造りなどに、どこか「関西文化圏」とは違う香りが漂い始めます。
ご存知でない方も多いんですが、日本の最大豪雪記録地って、滋賀県なんですよ。新潟県や秋田県ではありません。具体的には、滋賀県伊吹山に1182cm(!)の積雪記録がありまして、世界記録になっています。私のような大阪人からすると、滋賀県北部(琵琶湖北部)はエトランジェ気分を味わえる最も近い場所なんですよね。
実は昨年後半、なかなか休みが取れずストレスフルな日々が続きまして、「どうしても一日だけ好き勝手に走ってきたい!充電しないとさすがに死ぬ!」と、わがままを申しまして、無理やり一日オフを取り能登の方に出かけました。副代表は長距離移動が苦手(一日200kmを超えると文句が出まくる)、息子は浪人中で勉強の邪魔をする訳にも行かず、ソロツーリングです。といっても、天候がもう一つだったので、自動車で出かけたんですけれど。
私がどこかに遠出する際、大抵の場合、詳細な目的地は決めないようにしています。自由になりたくて出かけているのに、目的地なんかに縛られたくない。好き勝手に移動するからほっといて。日本国憲法の保障する「移動の自由」ここにあり。
幼い頃の息子をよく遠出に連れて行ったんですが、ある程度大きくなってからは敢えて目的地を決めないようにしていました。一応神奈川県あたりに行こうか、という感じで静岡県を東進していても、「おっと、こっちの道面白そうやん!」となって、山梨県から長野県に向かったりとか、高知県に向かっていたけれど、何となく愛媛県に行こうかなという気になって四国山地を走り回ったり。二人だけでルートを決めるので決定所要時間5秒ぐらいですね(笑)。適当極まりないんですが、それこそが旅だと思っています。
話は少し逸れましたが、一人で旅するならなおのこと自由気ままです。昨年、能登に向かった際も、とりあえずお気に入りのルートを辿って滋賀県北部に行き、そこらを少しプラプラした後、iPhoneで地図を見て行き先を考えます。
「そやな〜今日は越前海岸の気分かな〜」ということで、国道305号線をずんずん北上。小雨混じりでしたが、日本海にはそれもまた似合います。
自分一人で旅していると、あんまり写真を撮ることもなく、今iPhoneを見てみても、なんかロクな写真がありませんが、休憩に立寄ったコンビニの写真。
大阪と違って、コンビニの裏側がいきなり越前海岸でして、海を見ながら休憩ができるようになっています。羨ましくもあり、津波を考えると怖くもあり。おにぎりも大阪では見慣れない商品がありました。
快調に進んでいくとあっというまに小松市。そう言えば去年もこれぐらいの時期に小松で何か回転寿司を食べた覚えがあるなと思いつつ(後述しますが北陸のお寿司は本当に美味しいのです)、かほく市の方に向かいます。
この辺りに来たらやっぱり走りたい「のと里山海道」。能登半島を代表する道だと思いますが、北上すると、左手に美しい日本海が広がっていて開放感満点の道なんです。
加えて、最高の「千里浜なぎさドライブウェイ」。全長約8キロメートルの砂浜「上」ドライブウェイ。砂浜のそばではなく、砂浜そのものの上を走れる、世界的にも極めて珍しい道なんです(砂の質が特殊で車輪がスタックしなくなっているのです)。バイクや車が趣味の人で知らない人は居ないんじゃないでしょうか。私も何度走ったかよく覚えていませんが、何回行っても最高の道です。自分で走り、息子と走り、妻や母もドライブに連れて行ったことがあります。
春先、浜辺に車やバイクを停めて海を眺めていると、「ひねもすのたりのたりかな」という蕪村の句の意味が本当によく分かる場所なんですよね。ご興味のある方には、次の動画がよいガイドになっています。
4K 千里浜なぎさドライブウェイ 今浜~千里浜 約8km
で、今回も千里浜なぎさドライブウェイを通り抜けようかなと思っていたんですが、この日は路面状況もあまり良くなさそうで、ちょっと悩みつつも別ルートを選択。富山県の方に向かいます。別に目的地はないけれど、何となくです。
できるだけ人気のない山道を選び選び進んでいくうちに、あたりが暗くなり始めました。車を停めて場所を確認すると、もう富山県南砺市です。そろそろお腹も空いたし帰ろっかな、ということでUターンして金沢をめざします。お寿司食べよ。
北陸地方に行かれたことのある方はご存知かと思いますが、魚・お寿司がめちゃくちゃに美味しいんですよね、北陸って。大阪とはちょっと格が違うというか。私はグルメではありませんが、そんな私でも一口で美味しさが分かるレベルです。そこら辺の回転寿司でも段違いですから、回らない少し高級な寿司店(といっても一人3000円そこそこですが)にでも行こうものなら、超・超ハイレベル。どなたかグルメな人が書いていたと思うんですが、石川県の三千円ぐらいの寿司が、銀座の三万円ぐらいの寿司に相当するんじゃなかったっけ。まあ、三万円の寿司を食べたことがないので、真偽は不明ですが……。
ということで、前から機会があれば行こうと思っていた寿司店に。金沢市中央卸売市場の真ん前にあるお店です。到着してみると、うむむ、海鮮丼屋さんもあるんですね。今日はこっちにしよ(適当)。で、やっぱり当たり前ですが美味しいんですよね。1000円強だったかと思います。地元のお客さんが多いのも納得。
「んまいんまい」とにこにこしながら退店したんですが、しばらくは金沢に来る機会もないだろうし、やっぱりお寿司も食べとこうかなという気になり、次は回転寿司店に。あんまり多くは食べませんでしたが(1000円そこそこぐらい)、やっぱりこっちも美味しい。この店、お寿司以外にも「あら汁」が供されていたんですが、セルフサービスで無料なんです。太っ腹だなあ。私はあら汁が大好きなので(副代表が煮魚嫌いなのでめったにありつけない)、「阿呆の三杯汁」の言葉通り、三杯いただきました。んまい〜。ごちそうさま。
あとは大阪を目指すだけ。しばらく適当な国道を繋いで走り、福井県鯖江の辺りまでドライブ。ちょっと疲れてきたので、そこら辺からは北陸自動車道・名神高速を疾駆して真夜中に帰宅です。これぐらい走ればとりあえず満足ということで、翌日から年末までの仕事を無休で乗り切ったのでした。ふぅ。
次は夏前ぐらいにまた能登半島に出かけようかと思っていたんですが、そんな呑気な行楽気分は今回の震災に吹き飛ばされました。能登南部でも道や家屋が損壊しているようですし、能登北部に至っては大きな被害が発生しているようです。あの美しい町並みや人々の暮らしはどうなっているんだろう、何が出来るわけでもないですが、胸は痛みます。能登の人々の暮らしが少しでも元に戻ることを祈っています。