2022年 大学入学共通テスト 国語 漢文問題 ‐ 小学生もチャレンジしてみよう

本日(2022.01.17)、関西圏中学入試は本番まっただ中、受験生は最後の踏ん張りどころです。心より応援しています。

さて、大学入試の方は共通テストが終了。報道によると、数学が随分難化したようですね。文理共に平均点は総計で50点程度下がりそうだとの予測。受験生は生きた心地がしないと思いますが、最後まで頑張って欲しいと思います。

さて、共通テストも2回目を迎え、国語の問題の方も少しずつ変わってきたように思います。まだ誰も手がけていないうちに問題解説記事を作成したいなとは思うんですが、繁忙期の今は、日曜日も朝から晩までひたすら仕事をしておりまして、なかなかそこまでの時間的余裕がございません。

ということで、今年は少し違った観点から漢文問題の一部を取り上げてみようと思います。題して、「小学生でも解ける!大学入学共通テスト漢文問題!」。


まず、2022年度大学入学共通テストの漢文問題ですが、かなり処しやすい問題だと思います。難関大や医学部を目指す人はできれば満点50点を取りたいところ。大学入学共通テストの漢文は、真面目に勉強しておけば「必ず得点に繋がる」分野ですので、是非ここで得点しておいて欲しいんですよね。しかも満点取得に「必要となる勉強量は非常に少ない」。文理を問わず、漢文を得点源にしないでどうする、という風に思っています。

今年の出題文は「漢詩」とその「序文」という構成ですが、以前のセンター試験でも類似した構成の回があったかと記憶しています。その問題を勉強していた受験生は、有利だったでしょうね。

内容。自らの所有する庭園に蝶々が時々遊びに来る。扇に止まったり、袖に止まったり。不思議な蝶々だったな……。といったところなんですが、小学生を対象に説明するので、あまり文章の内容に踏み込まずに、語彙力や漢字力に基づく解説にしたいと思います。


問1
ア「復」イ「審」ウ「得」の文章内での意味として最も適当なものを選ぶ問題。

いつも言っているけれど、漢字はイメージがとても大切です。意味や読みを覚えることはもちろん大切だけど、機械的に覚えるだけでは、後々役に立ちません。イマジネーションをふくらませてくださいね。

頭の中に漢字の森・漢字の動物園・漢字の社会をつくる感じといったらいいかな。これ、中学受験でももちろん役立つけど、みんなが中学生・高校生になっていつか大学を受験するときにもきっと役立ちますから。保証します。

(この辺りは下記の記事をご参照くだされば幸いです。)

漢字学習はイメージをつかむべし‐灘中学2021年度入試問題から

まず「復」という漢字から。

まずはこの漢字のイメージを思い出してみよう。どんなイメージや熟語を思い出せるかな?「往復」?いいですね。「往」は「ゆく」、「復」は「かえる」と読めるんだったね。つまり、「かえる・かえす」のイメージです。他にも「復旧」なんて熟語も知っているといいですね。「もとに『かえる・かえす』」ということですからね。他にも「復活」って知ってるかな?そう、「いき『かえる』」ということですね。

で、今日はもう一つのイメージも持ってもらいたいと思います。「かえる」というのは、「もう一回戻ってくる」ということですよね。そこから「もう一回・ふたたび」というイメージも出てきます。もう一回・ふたたび勉強することは何と言うかな?そう、「復習」ですね。ふたたび学習しているわけですね。じゃあ「復職」はどんな意味になりそう?そうそう、「ふたたび元の職にかえること」ですね。「復学」なら「休学していた学校にふたたびかえること」です。「復」には「また」という読みがあることも知っておくといいですね。

ちなみに、出てきた熟語から分かるように、「かえる・かえす」と「もう一回・ふたたび」という二つの意味をくっきり分けられるわけではありません。重なり合っているけれど、イメージなんだからそれで全然かまいません。

じゃあ、ここで大学入学共通テストの問題を見てみましょう。選択肢はこうなっています。

1.なお
2.ふと
3.じっと
4.ふたたび
5.まだ

もう答えは分かりましたね。「4.ふたたび」が正解です。

一応文章も見ておきましょうか。ここは小学生には難しいので、わたしの方で今の日本語に訳しますね。「蝶々を呼ぶと扇に止まったよ。次にこの蝶々を『ふたたび』別の人の庭園でも見たよ。」ということで、バッチリです。


次は「審」という漢字。

音読みは「シン」。これは大丈夫ですね。じゃあ、訓読みは知っているかな?訓読みなんてないって?なるほど、確かに小学校の範囲では習いませんね。でもちゃんと訓読みがあるんですよ。いきなりですが訓読みを教えておきますね。「つまびらか」という読みです。意味が分からない?そうですね、ほとんど古語かもしれないね。「つまびらか」とは、「くわしい・はっきりしている」という意味です。

じゃあどんな熟語を思い出せそうかな?「審議」?いいねいいね。「『くわしく』議論する」感じですね。他に「審判」「審査」なんかもいいでしょうね。『くわしく』判定したりチェックしたりというわけです。

ここでまた大学入学共通テストの問題を見てみましょう。選択肢はこうなっています。

1.正しく
2.詳しく(くわしく)
3.急いで
4.謹んで(つつしんで)
5.静かに

もう答えは大丈夫でしょう。「2.詳しく」が正解です。

こちらも一応文章を見ておきますね。今の日本語に訳すと、「蝶々が服の袖(そで)に止まったので、長い間『詳しく』蝶々を見た。」という話ですから、やっぱりバッチリです。


次に「得」という漢字。この問題は漢字のイメージだけではちょっと厳しいでしょうね。「得」という漢字は、「自分のものにする」イメージですから、「手に入れる」とか「わかる」ということになりますが、文章に照らし合わせてみましょう。さすがに小学生では難しいところもあるので、こちらで現代日本語にしますね。さっきの問題の続きの部分です。

「蝶々が服の袖(そで)に止まったので、長い間『詳しく』蝶々を見たところ、」
「『』其形色」
「すると蝶々はゆったりと羽根を羽ばたかせて飛んでいった。」

と続きます。「其形色」は「その形や色を」という意味ですから、次の選択肢を入れてどれが良さそうか考えることにしましょう。

1.気がつく
2.手にする
3.映し出す
4.把握する
5.捕獲する

「蝶々が服の袖(そで)に止まったので、長い間『詳しく』蝶々を見たところ、その形や色を○○○○。すると蝶々はゆったりと羽根を羽ばたかせて飛んでいった。」

さあ、どれがいいでしょうか。

手にしたり、捕獲したりしたら、ゆったりと羽根を羽ばたかせて飛ぶということにはならないでしょうね。だから選択肢2・選択肢5はアウト。

次に、形や色は一目で気づくものですよね。詳しく見なくても分かるはず。選択肢1もアウト。

また、映し出すだったら、どこに映し出すのかが分からなくて意味不明になります。選択肢3もアウト。

ここはやっぱり「4.把握する」のがぴったりです。長い間『詳しく』蝶々を見たところ、その形や色を『把握できた』とすると意味が通りやすいですね。「把握する」は「自分のものにする」「わかる」というイメージにも近いですしね。ということで、正解は「4.把握する」です。


いかがでしたでしょうか。小学生の頃から漢字のイメージをつかんでおくということの重要性がお分かりいただけたでしょうか。何といっても漢字は表意文字ですからね。

漢詩の押韻問題も説明すれば小学生に解けるものでしたが、ちょっと時間切れ。現在の大学受験生も未来の大学受験生も頑張ってくださいね!